レキューム デ ジュール

国立に本格的なスフレ専門店がオープンしたというので、平日の昼下がりにお伺いしてみました。お店はインパクトのある外観が印象的な「SAKABAR CAR Fe 66(カーフェ66)」のすぐお隣にあり、白い壁に緑色のドアが映えています。

オーナーの原さんは、長年、都心のスフレ専門店「ル・スフレ」で修業を積んできたというだけあって、その鮮やかな手つきには見とれてしまいます。こちらのお店では、お客様のオーダーを受けてから材料を混ぜ、さらに、ボールごと中火にかけながら生地に卵白を混ぜていきます。その後、オーブンでしっかりと焼き上げるので、焼き上がりまでに20分ほどの時間を要します。

原さんがパティシェになることを決意したのは、高校時代のことでした。当時は、ドラマなどの影響から“パティシェブーム”の全盛期でした。
パティシェのかっこよさに惹かれた原さんは、
「どうせ働くのなら、普通の会社員になるのではなく、人と違うことをしてみたい」
という思いから、高校卒業後は千駄ヶ谷にある「服部栄養専門学校」の夜間部に進学しました。専門学校に通いながら就職先を探すうちに、フランス菓子やチョコレート菓子の名店として知られる尾山台の「オーボンヴュータン」に憧れて面接を受けた所、めでたく採用されました。
「オーナーの河田勝彦さんは、長年、お菓子の本場パリで修業をされて来た方で、終業時間が来たらきちんと仕事を切り上がるといったスタンスも気に入りましたね」

10月に夜間部を卒業して春先の入店を心待ちにしていた原さんの元へ、
「繁忙期の12月に、一か月間ほどお店を手伝ってくれないか」
と河田さんから声がかかりました。この一か月間の研修中、原さんは周りの先輩たちから思った以上に優しくしてもらったのと、憧れの名店で仕事できる喜びもあって、すっかり舞い上がってしまったといいます。研修が終わった際に、河田さんから呼び出された原さんは
「お前にはポリシーがないな」
と言われ、結果として、河田さんのパリ時代からの親友の永井春男さんが経営する西麻布の「ル・スフレ」に飛ばされてしまいました。
「河田さんからは『そちらのお店で3年間がんばったら、うちのお店で働かせてもいいかどうか考えてやる』と言われましたが、当時は余りにショックだったので、『絶対に河田さんの店になんか戻ってやるものか!』と息巻いていましたね」
西麻布の「ル・スフレ」に入ってはみたものの、入社してすぐの頃は中々スイッチが入らずに、密かに自宅で「オーボンヴュータン」の河田さんのルセット(レシピ)を見ては、様々なお菓子作りにチャレンジしていたといいます。

実際に、スフレ屋に入って3年が経過した頃には、すっかりシンプルでいながら奥の深いスフレの魅力に取りつかれていたといいますが、何がそこまで原さんを駆り立てたのでしょうか。

「プロのパティシェというのは、何を作るにしても命がけです。特に、スフレのようにシンプルなお菓子の場合は、卵白の泡立て方一つでスフレの膨らみ具合が決定してしまうのです。お菓子作りというのは、もはや人格改造するくらいの覚悟で取り組まないと、この仕事は続けられないということに気付かされたのです」

そんな中、自由が丘の「スイーツ・フォレスト」の「ル・スフレ」に移動の話が持ち上がり、原さんは入社4年目にして、初めて「ル・スフレ」の店長を任されることになりました。自由が丘店に移った原さんの元に、河田さんが息子さんを伴って訪ねて来てくれたことも何度かあるといいます。
「若い頃の俺は本当に生意気だったので、今では河田さんに感謝しています。悔しい気持ちをバネにシフトチェンジして頑張って来たからこそ、今の自分があると思っています」

原さんは自由が丘店の店長を7年間勤めた後に、2016年の11月に、国立の閑静な住宅街にスフレ専門店「レキューム デ ジュール」をオープンしました。メニューは常時40種類ほど揃っており、プレーンやキャラメル、季節のフルーツなどの甘いデザート系のスフレだけでなく、スモーク・サーモンやグリエールチーズなどおかず系のスフレなどもあり、近隣の主婦の間で話題になっています。


国立に出店を決めた理由については
「都心のどこよりも、街がきれいだと感激したからです。そして、住民も個性的でいながら温かい人が多く、非常に過ごしやすい点も気に入っています」
といいます。
「10年後には、日本全国といわず、世界中から俺の作るスフレを食べに来て欲しいですね」
と熱く語る原さんの作るスフレは繊細でありながら、彼の生き様そのものが表れているかのよう。是非、一人でも多くの方に味わって頂きたい、深くコクのある味わいが特徴です。

国立駅からの道のり

中央線国立駅南口より徒歩14分。国立駅から1100m。

基本情報

店舗所在地
国立市東4-3-11 国立66CAFE1F
営業時間
9:30~22:00(L.O21:00)
休業日
木曜
TEL
042-505-8775