世界が認める環境と音響。コンサートも可能な兼松講堂

国立シンフォニカーの定宿となる兼松講堂。80数年もの長きの間、一橋大学のシンボルであり続ける、石壁造り・レンガ造りの巨大建築物です。講堂ながらフルオーケストラの演奏も可能。その環境と音響はベルリン・フィルのシェレンベルガー氏やウィーン・フィルのシュルツ氏など、海外の演奏家からも絶賛されています。(写真撮影:横坂泰介
舞台から客席を眺めて 半アーチ型の開口部はロマネスクの特徴 兼松講堂は1925年(大正14年)に、(株)兼松商店の創業者・兼松房治郎の遺志によって、寄贈・建築された建物です。建築費用は当時で50万円。現在でいえば約10億円の巨費が投じられました。設計は、東京帝国大学工科大学教授の伊藤忠太氏でした。
座席には校章のマーキュリー 舞台のアーチには十二支が描かれる 伊藤忠太氏は明治維新の前年、山形県に生まれた日本建築史の創始者。のちに法隆寺が世界最古の木造建築であることを発見しました。代表作には平安神宮、大倉集古館、祇園閣、築地本願寺、靖国神社神門などがあります。
広いロビーには兼松房冶郎氏の胸像が 重厚なしつらえがあちこちに 兼松講堂の建築様式は、ロマネスク様式といいます。ゴシック様式と並ぶ、西洋の寺院建築スタイルです。特徴は小さな窓や、半アーチ型の開口部の連続など。兼松講堂が特異なのは、ところかしこに空想上の動物が散りばめられている点です。伊藤忠太氏は大の妖怪好きで、イラスト集「怪奇図案集」や、論文「化けもの」を発表するほど。講堂内にもさまざまな生き物の意匠を施しました。柱頭などに、約100体の「怪獣」が鎮座しています。
ピアニストのウラディーミル・アシュケナージ氏がその評判を聞きつけ、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団を率いてコンサートを開いた兼松講堂。そこに誕生したレジデント・オーケストラ「国立シンフォニカー」の初公演は、2010年10月24日に開かれます。詳細は下記オンラインチラシを。
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