ピアニスト・小原孝さん

小原孝さん 国立音楽大学に中学から大学院までを通い、デビューして20年以上、国立楽器 音楽の森のホールで頻繁にコンサートを開いてきたピアニスト・小原孝さん。全国のリサイタルやテレビ番組、ラジオ放送出演に飛び回る日々。しかし「自分の中でも一年のスタートになる位置づけ」と言うニューイヤーコンサートは、現在も国立でずっと続けています。「音楽の森で僕をよく知っているお客さまの前で、未発表のアルバムから演奏したり、新しいことにトライして、それが次のアルバムやツアーの原点になったりするんです」。その試みの一つが、コンサートでお客さまと一緒に歌うコーナーをつくること。「ライブ感の感じられるコンサートにしたいんです」と小原さんは言います。
今回のニューイヤーコンサートは、会場を「くにたち市民芸術小ホール」にかえて、2011年1月7日(金)に開催することになりました。 コンサート詳細は右ポスターをクリック!
国立音楽大学は、私立では日本初の音楽の高等教育機関です。1926年に竣工した富士見通りの校舎は、現在は附属中学・高校の学び舎になっていて、大学は1978年に立川市柏町に移転しました。中学・高校時代を国立で過ごした小原さん。「一橋大学の構内にはよく遊びに行きました。旭通りの映画館・スカラ座にも通いました。電車通学ですから、谷保駅や矢川駅から歩いて登校しましたが、その頃の南武線は本数が少なくて、1本電車を逃すと大変、よく走りました。文化が根づいている街、国立で学生時代が過ごせて幸せでしたね」。
国立に縁の深い小原さんは、馴染みのある赤い三角屋根の駅舎を歌にしています。その名も『くにたちのサンタ』。2005年の第3回くにたち街角コンサートで初披露されました。「味わいのある駅舎がなくなっちゃうのはさびしい。音楽で残しておこうと思って。赤い三角屋根の上にサンタさんが乗っているというストーリー」。コンサートの前日にふと思いついて完成させたというから驚きですが、ソリの音、鈴の音がピアノで表現された、クリスマスらしい、かわいくて絵本のような歌です。残念ながらCDは完売。しかしインターネットのダウンロード販売で聴くことができます。パーソナリティーを務めるNHK-FMのラジオ番組『弾き語りフォーユー』では「いまでもクリスマスシーズンにリクエストの多い歌です」。
小原さんはクラシックのピアニストですが、レパートリーはジャズ・ポップス・童謡など多岐にわたり、ジャンルの違うアーティストとも積極的にセッションを行います。「小学校にコンサートに行ったときに、『赤とんぼ知らない人?』と聞いてみたら、手を上げる子どもがいっぱい。古くてもいい曲をコンサートやCDや教材で取り上げて、伝えていきたいんです」。ソーラン節の伊藤多喜雄さんとライブをご一緒したのが縁で影響を受けたという民謡。「ソーラン節、八木節、木曽節、佐渡おけさなど現在アレンジ中。まもなくCDつきの楽譜集として発売される予定です。昔から歌い継がれてきた日本の歌はいま危機的な状態なんですね。大人は知っているけど、子どもは知らない。伝わっていない。これからもいい音楽を、たくさん伝えていきたい」と小原さんは言います。 左写真で小原さんが手にしているのは、自身が執筆したレッスン教材『指1本からはじめるおとなのピアノ・レッスン~クラシック編~』(講談社・2,857円・DVDつき)。2009年6月~8月に、NHK教育テレビで放送された「趣味悠々 指1本ではじめる! 小原孝の楽しいクラシックピアノ」という番組の内容をまとめたものです。この番組では生徒役に俳優の西村雅彦さんを迎え、まったくピアノに縁がなかった西村さんが弾けるようになる様子が放送され人気を博しました。

■小原孝プロフィール 1960年 神奈川県川崎市に生まれる。 クラシック・ギタリストの父の影響で6歳からピアノを始める。国立音楽大学付属中学・高校および大学を経て、1986年同大学院を首席で修了。 クロイツァー賞受賞、初めてのリサイタルを開催する。 ピアノ・伴奏法を菅野洋子、古代公子、ヨン・ブリック、畑中更予、小林道夫、塚田佳男、ルドルフ・ヤンセン各氏に師事。 際立った美しい音色は、キャべジン・コーワやTOYOTA”Vitz”などのTVCMなどでも広く知られ、ピアノを自在に歌わせるピアニストとして人気を集めている。 1990年CDデビュー以来「ねこふんじゃったSPECIAL」「ピアノよ歌えシリーズ」「ガーシュインを弾く」など30枚以上のアルバムをリリース。 また、1994年にスタートした全国コンサートツアーも好評で、1995年・97年サントリーホールでリサイタルを開催するなど、ステージ数は700回を超えている。 NHKテレビ「くらしのジャーナル」「おはよう日本」「ときめき夢サウンド」「音楽のちから」「BS日本の歌」「思い出のメロディー」、TBSラジオ「ゆうゆうワイド」、テレビ朝日「新題名のない音楽会」など、多数の番組にも出演。 1999年よりNHK-FM「弾き語りフォーユー」のパーソナリティーを担当、12年目に突入した現在も好評放送中。 2002年 第13回奏楽堂日本歌曲コンクール優秀共演者賞受賞。初エッセイ集「ねこふんじゃったの国から」を発売。弾き語りフォーユーがABU賞ラジオ部門エンターテイメント賞受賞。 2003年川崎市民文化大使に就任。初のベストアルバム「小原孝BEST(2枚組み)」をリリース。 2005年第16回奏楽堂日本歌曲コンクール優秀共演者賞受賞。(社)日本スイミングクラブ協会第6回ベストスイマー賞受賞。NHKーFM「今日は一日弾き語りフォーユー三昧」13時間生放送にチャレンジ。 2006年第17回奏楽堂日本歌曲コンクールでは、優秀共演者賞(2年連続3度目)&作曲部門「中田喜直賞」をW受賞。 2007年音楽監督作品、NHK-FM「モリー先生との火曜日」、ルテアトル銀座「小原孝ピアノシアター~コールポーター讃歌~」を発表。CD「ウイリアム・ギロックを弾く」を発売。 2008年音楽監督作品「モリー先生との火曜日」舞台化、「小原孝ピアノシアター~童謡の謎~」を発表。11月最新CDアルバム「小原孝のピアノ詩集~また逢う日まで~(阿久悠作品集)」発売。 2009年NHK教育テレビ「趣味悠々 小原孝の楽しいクラシックピアノ」。 2010年デビュー20周年記念CD「小原孝のピアノ詩集~愛の賛歌」(岩谷時子作品集)、DVDテキスト「指1本からはじめる小原孝のおとなのピアノレッスン」発売。 現在、尚美学園大学客員教授。国立音楽大学講師。(社)全日本ピアノ指導者協会(PTNA)評議員。 日本著作権協会正会員。日本演奏連盟会員。日本ギロック協会名誉会員。 作詞・作曲・編曲などジャンルを問わずに自由に音楽を操るマルチピアニストとして活躍中。 1960年3月17日生まれ。魚座。A型。 ◆小原孝公式ホームページ『くにたちのサンタ』ダウンロード販売ページ(試聴可)
[取材協力]国立楽器 国立店 [取材・執筆・撮影]くにたち総合ポータルサイト事業協議会 事務局