天兵

天兵は、大学通りとさくら通りの交差点北東角のレストラン裏手の駐車場に面しています。そこはもう住宅街の入り口で、とても静かな環境。
小屋根のついた門をくぐって玄関までのアプローチが、重量感すら感じさせる「天兵」の扁額ともども、これからいただく天ぷらへの期待感を高めてくれます。


テーブル席とカウンター席で計14席。シンプルで清潔感があり、温かみのある店内は、店主・鈴木兵太郎さんの人柄そのもの。


写真はお昼のメニューから「天ぷら定食」。この日は、海老、めごち、きす、ししとう、なす、いんげん。ひと品ずつ、揚げたてがほどよいタイミングで供されます。ご飯、みそ汁、小鉢、香の物がついて税込み1,000円(平日のみ。土・日・祝は除く)は、うれしすぎます。
「天兵の天ぷらはたくさん食べても胃もたれしない」と評判の軽やかに揚がった天ぷらは、昆布とかつおぶしでていねいにとっただしと、天兵の歴史とともに歩む「かえし」から作る天つゆの旨味をまとって、素材の味を引き出しています。「天ぷら塩派」の方には、ヒマラヤ岩塩や藻塩、抹茶塩など、いつも4~5種類用意されている変わり塩で味わうのも、また楽し。

店主は、鈴木兵太郎さん。15歳のときに秋田から上京。新宿にある明治初期創業の老舗天ぷら店で修業を始めました。
「そのときはね、何がやりたいなんてものはなかったんですよ。親父がね手に職をつけた方がいいと言って、ツテのあるクリーニング、機械、天ぷらの中から選べと。で、なんとなく天ぷら屋を就職先に選んだのが最初」と懐かしそう。

下働きから始めて14年後、1971年に国立で独立開業します。
なぜ国立で?の問いには。
「サービスにあたっていた従業員が、料理をこぼしてお客さまの衣服を汚してしまったことへのお詫びで来たのが、国立で。新宿からだから、えらく遠いところだなと思いながら来ましたよ(笑)。でもね、それが桜の時季でね、それはそれは素晴らしかった」

独立を決意したときに、偶然にも国立市内で廃業した飲食店の物件があるとわかり、即決。現在地よりも少し南西で開業したのが1971年のこと。そして、現在地に移転したのは、1991年。もう48年もの長きにわたって、地元の方々に親しまれてきたのですね。

「もうね物忘れもする頑固じじいですから(笑)、いつまで続けられるかわからないけど、あと2年はね。2年後には独立して丸50年になるからね。その日までは現役でがんばりたいね」
「日々成長できればいいなと思いながら過ごしてきたから、あっという間だったなぁ。師匠や仲間たち、お客さまに恵まれ、支えられて無事にここまでこられました」
と、語ります。

ときどき弱気なことを言いながらも、調理場に立つと背筋も伸びて、相も変わらずお見事な手さばきで次々と揚げたてが供されてきます。声も力強く、表情豊かなナイスなトークも健在。鈴木さんの明るさに元気までいただけてしまいます。

今なお、多くの常連さんに愛され、人々を魅了する天ぷらや一品料理の数々。鈴木さんおすすめの日本酒や焼酎も揃っています。特別な日のおもてなしや気軽な昼食に、ぜひお立寄りください。

基本情報

店舗所在地
国立市富士見台1-6-11
営業時間
11:30~14:30、17:00~21:30
休業日
水・木定休
TEL
042-575-7388