毎年入学式前、4月の第一日曜日に行われる新入学児童のための催し。
児童の心身の健康と、これから始まる学校生活の充実と学業成就、交通安全を祈願します。
新しく始まる生活に期待と不安に小さな胸をドキドキさせている子どもたち。両親や祖父母とともに谷保天満宮の鳥居をくぐります。 拝殿に入り、ちょっと座りにくい床几(しょうぎ)※に腰掛けます。そこで、
・床几にきちんと座り、足をぶらぶらさせない ・祝詞をあげていただくときは、軽く頭を下げる ・拝礼は、二礼二拍手一礼など、お作法を教えていただきます。 (※床几:折りたたみ式の腰掛け) 「そのときは、うんとほめてあげるんです。そうすると、ぶらぶらしていた足がぴたっと止まって、拝殿がいい緊張感に包まれます」(権禰宜・菊地茂さん) 午前10時から、いよいよ始まる学業の成就と交通安全をお祈りし、子どもたちに神様のご加護をお願いします。その日いちばん早く来た男女1名ずつが、子どもたちを代表して玉串を捧げ、みんなで拝礼をします。 その後、宮司さんからのお話、続いて奉賛会会長からのお話を伺い、文房具、絵馬、お守りをいただいて帰ります。 子どもたちは緊張しながらも、きちんとできたことをほめてもらって誇らしげな表情を見せます。両親や祖父母は子どもがここまで無事に育ったことに思いを馳せ、感謝の念で胸がいっぱいになっていることでしょう。みんなの顔にこれからの学校生活への期待が浮かんでいるようです。
この催しは、四半世紀ほど前「谷保天満宮奉賛会※」が結成されたところから始まりました。 対象は奉賛会会員の子どもや孫で、その年に小学校に入学する児童が毎年20名前後招待されます。 奉賛会は1,500軒の氏子さんからなり、さまざまな奉仕活動を行い、絆を深めているといいます。梅まつりや書道展なども主催しています。 (※奉賛:神社・仏閣などの事業に謹んで賛助すること。趣旨に賛同して助力すること)
谷保天満宮御祭神菅原道真公は、文学の神、詩歌の神であると同時に、平安時代の大変な能筆家としても知られていました。そのため、江戸時代から全国で繰り広げられた寺子屋では、床の間に「天満宮」の掛け軸を掛けて学習に励んだとされ、書道の神としても崇敬されています。 天満宮には明治24年に、谷保村・青柳村(現国立市)、四谷村(現府中市)の生徒が書道の上達を願って建立した筆塚があります。 以来、毎年初天神(1月25日)に使い古した筆を納め、これをお焚き上げして筆供養を行っています。近年は書道人口が減少しているために、筆にかわって使い古した文房具などをお焚き上げする人も増えてきました。 午前10時から社殿で「勧学祭」が斉行されます。その後、筆塚前のかがり火台に神職が点火します。 昔も今も変わらない人々の学業成就、書道の上達祈願は、炎とともに天神さまに届けられます。
【取材執筆】小山信子 【取材協力】菊地 茂さん(谷保天満宮 権禰宜) 【写真】菊地 茂さん、くにたち総合ポータルサイト事業協議会