カナイシューズ
大学通りに面する昔ながらの靴店「カナイシューズ」。
駅を背にして左側に佇む店構えは、当たり前のように馴染む国立の風景になっています。
昭和の面影を残す内外装とロケーションの良さから、ドラマや映画の撮影にも使われているのだとか。
カナイシューズの創業は1929(昭和4)年。93年を迎える現在の店主、金井雄太さんは4代目にあたります。
3年前に父である峰基さんが他界してからは、母の圭子さんと二人三脚で切り盛りしています。
「亡くなる半年ほど前に、父から店を継がないかと言われたんです。兄もいますが接客に向いているタイプではありませんし、継ぐなら自分かなと思ってはいました」と雄太さん。
それまで営業職で勤めていた自動車販売会社を退職し、峰基さんと一緒に店へ立ちながら少しずつ経営について学んでいきました。
「家族に対してはとにかく無口な人でしたから、事細かに教えてくれるということはありませんでした。なので、見て覚えるというか。その時はわからなかった部分も、あとから振り返って『こうだったのか』と合点がいって」と苦笑します。
長く店を手伝っている圭子さんも「察する力、自分で考えて動く力は鍛えられましたね」と笑って話してくれました。
創業当時はすべてオーダーメイドで靴を作っていて、一橋大学の学生たちがメイン顧客だったといいます。
その頃は現在の場所ではなく、もう少し奥まったところに位置していました。
当時の様子を写した一枚は、今も店内に飾られています。
お店のコンセプトは〝その人が楽に履ける靴〟
「合う合わないは履いて歩いてみないとわからないので、試し履きをしていただきながら会話をする中で、痛いところはないか、フィッティング具合はどうかをお聞きしています。ファストファッションも増え、いろいろな所で靴が買える時代になりましたが、うちなら丁寧な接客を通じて本当に履きやすい靴をご提案できる。コロナ禍でデパートを敬遠されるお客さまも、来ていただきやすいようです」
中には青梅から通ってくる方もいらっしゃるのだとか。
40代~70代を中心に、上は90代までと幅広い支持を得ています。
つまずき、転びが気になる年代の方にもおすすめな「つまずきにくい靴」
ベーシックな無地だけでなく、気持ちが浮き立つような華やかな色柄もラインナップに。
昭和世代には懐かしさを呼び起こすサンダルも、ひそかな売れ筋商品。
インスタグラムで紹介されたのをきっかけに、若い世代にも人気なのだそう!
履きやすさと丈夫さ、手ごろな価格が魅力です。
「息子の代になってから、紳士用の品ぞろえもバリエーションが増えました。ご夫婦で来店されて、付き添いのご主人も棚を見てくださることが多くなりましたね」と圭子さん。
峰基さん時代に、相撲好きなお客さまから「商売繁盛に」と譲り受けた大入り袋。
額装して大切に飾られています。
黒木華さんが出演した映画では、店内が撮影のロケ地として使われました。
ホラー映画だったこともあり、撮影は夜までかかったとか。
その際にいただいたサインと、映画で実際に使用された架空のロゴも店内のどこかにあります。
お店へ行かれた際はぜひ探してみてくださいね。
雄太さんが店主になってから、真っ先に着手したのは在庫整理。
車いすの方も通りやすいよう通路を広くとり、清潔感を意識したといいます。
「より入っていただきやすく、選びやすい店内になったと思います。これまで通りカナイシューズらしい丁寧な接客を大事にしつつ、新しいことも取り入れていけたら。せっかく長くやっている店なので続けていきたいですし、創業100年を目標にがんばります」
もっと多くの方にお店を知ってほしいと、インスタグラムでの発信も始めました。
https://www.instagram.com/kanaishoes1929/
若き4代目の真摯な姿勢に、新たなファンも生まれているようです。
- 店舗所在地
- 国立市東1-6-18
- 営業時間
- 10時~18時
- 休業日
- 水曜、土曜
- TEL
- 042-577-1717
- ウェブサイト
- https://kunitachi.shop-info.com/kanai/