谷保天満宮梅林に咲く約350本の紅白の梅が、見ごろを迎える2月下旬または3月上旬に行われるおまつりです。


菅原道真公が愛したことから谷保天満宮を象徴し、また国立市花でもある梅の花が咲き誇る梅林は、江戸時代からあるのだそうです。当時は今よりもずっと広かったのだといいます。
梅林には『旧車祭』(別項記事参照)開催のきっかけとなった有栖川宮親王殿下の碑、作家・山口瞳さんの文学碑などがあり、花とともにそれらを眺めながらの散策も興味深いものがあります。
梅まつりは、25年ほど前に天満宮奉賛会が結成されてから新しく生まれた行事。会員には、宮司さんと奉賛会長連名で招待状が送られます。もちろん一般客大歓迎で、毎年多くの方が観梅に訪れ、早春の1日を楽しみます。
梅林には、ステージや茶席を設け、午前10時から午後3時までの間に
・二胡演奏
・吟詠「吟詠こども教室」
・野点(表千家)
・琴演奏(横手社中)
・紅わらべ奉奏
・お囃子
・天神太鼓
などが披露されます。
2011年には昔懐かしい紙芝居も登場。定番の演し物のほか、「天神さま」も上演されました(境内社務所前)。
また社務所2階では「書道展」も併せて開催されます。

中でも必見の演し物は「紅わらべ奉奏」。
平成14年の「菅公千百年大祭」を記念して、全国の天満宮で組織された「全国天満宮梅風会」によって作られた巫女舞で、菅公が5歳のときに詠んだ和歌、
「美しや
紅の色なる
梅の花
あこが顔にも
つけたくぞある」
に曲と舞をつけたもの。
巫女姿の子どもたちの優雅な舞にご注目。


境内では、奉賛会役員が大きなお鍋にいっぱいのおでんや甘酒のおふるまいにおわらわ。一般客にもそれぞれ200円、100円でふるまわれます。
春とは名のみの寒さの中、おだしのきいたおでん、お椀にたっぷりの甘酒に心まであたたまります。絶品。
春のおとないを告げて濃紅、薄紅、白と咲く梅は、合格祈願に訪れる受験生を励ますかのようでもあります。
また、梅見に合わせてクラス会を開く少しご年配の方々にもお目にかかりました。冬の装いをまといながらも、早春の気配に身をおいたせいか、心なしか浮き立つような振る舞いもお見受けしました。満開のお花のおかげでしょうか。
【取材執筆】小山信子
【取材協力】菊地 茂さん(谷保天満宮 権禰宜)
【写真】くにたち一芸塾写真クラブ