ママ下湧水

ママ下湧水 武蔵野台地に降った雨水が地中から再び湧き出す湧水ポイント。 武蔵野台地に降った雨が湧水となってママ下湧水古代の多摩川が武蔵野の大地を削ってできたのが、崖線と呼ばれる場所です。崖線は青梅あたりから二子多摩川の先まで続き、崖線のあるところには多くの樹林や土地の高低差が見られます。 国立では、国立駅よりも北側に国分寺崖線、富士見台第三団地の南あたりには立川崖線、またさらに南の一段低いところには青柳崖線が通っていて、多摩川に向かって台地が北から南へとゆるやかに下っている地形となっています。 この武蔵野台地に降った雨が地中深くもぐり、長い時間をかけて地上に湧き出しているのが湧水。国立南部の崖線下には昔から、この湧水ポイントがいくつもありました。
東京都の名湧水57選のひとつママ下湧水国立の湧水のなかでも、もっとも豊富な湧水量を誇るのが、ママ下湧水群といわれるものです。ママとは崖のことを表す古代語で、昔からこの地方では崖線のことをママ、あるいはハケと呼んできました。ハケ下・ママ下には透明な清水があふれ、水が豊富な恵まれた土地であったために、人々が住み着き農耕をもとにした村落を形成してきたのです。 昭和初期まではいくつものワサビ田も見られたという湧水の水は、夏でもひんやりと冷たいため、農家では多摩川水系の府中用水とまぜて田畑に流す工夫をしました。ママ下湧水では今日でも農家の人が野菜を洗う風景が見られます。 湧水群は人の暮らしと自然がともに生きる里山として、大切にしていきたいもの。平成15年には東京都の名湧水57選のひとつに選定されました。
ママ下湧水公園の石碑彫刻家である関敏氏による石碑湧水の流れのなかにはナガエミクリなどの植物が見られ、またホトケドジョウ(環境省・絶滅危惧種)などの貴重な生き物も棲んでいます。近年、ママ下湧水群の上に大きな道路が建設されたために、かつてののんびりした面影はなくなりましたが、一部がママ下湧水公園として整備されました。公園内の西寄りの湧水ポイントには、地元の彫刻家である関敏氏による石碑が建てられています。 ママ下湧水公園からは、ハケ下の樹林に沿って散策道が続いています。くにたち郷土文化館を経由して、古民家のある城山公園から谷保天満宮まで、気持ちのよいハイキングコースが楽しめますよ。
【取材・執筆】 田中えり子【写真】 自然クラブ、くにたち総合ポータルサイト事業協議会 【参考】 『府中用水』、『里山だいすきガイドマップ』(くにたち郷土文化館発行)
JR南武線矢川駅から徒歩10分