Music Triumphs Over Business Administration And Marketing (指揮者、宮城氏は優れたビジネスマンとしての経歴を経て、音楽家として成功した)
一橋大学兼松講堂にはじめて誕生したレジデント(常駐)オーケストラ「国立シンフォニカー」。指揮者兼代表を務めるのは、宮城敬雄(みやぎゆきお)さんです。上記の英文は、ブルガリアのソフィア・フィルハーモニー管弦楽団の、ピーター・ショポヴ会長が寄稿した一文。スロヴァキア・フィル、チェコ・ナショナル響、ハンガリー放送響、サンクトペテルブルグ響、スーパーワールドオーケストラなど、数多くの世界の管弦楽団を宮城さんは指揮してきました。
一橋大学本館にて | 4人兄弟の一番下。母親はピアノの先生で、姉3人は音大も卒業した音楽一家。しかし宮城さんは一橋大学に入学するまで、音楽の勉強ができませんでした。経営者だった父に「男はきちんと家を継げ」と言われていたから。「でも兄弟の中で、私が一番音楽が好きだった」と宮城さんは言います。「割り箸を手に、指揮者のまねごとをしていましたよ」。 |
一橋大学 杉山武彦学長と | 一橋大学管弦楽団でオーボエを吹き、父の会社を継いでからは「ミスターセブンイレブン」(朝から晩まで働く人)と揶揄されるほど忙しい日々。それでもサラリーマン・オーケストラ「虎の門交響楽団」に所属し、演奏活動を続けました。そのころから「オーケストラを指揮したいモチベーションが高まっていった」と宮城さんは言います。「ソニーの元社長の、大賀典雄さんも経営者であり指揮者ですからね」。 |
兼松講堂をバックに | そんな宮城さんですが、50歳のときに身体を壊してしまいます。「60歳になって時間の余裕ができてから挑戦しようと考えていたが、やるなら今しかない、と」。白川和治氏、クルト・レーデル氏などに師事し、ホルスト・シュタイン氏、イヴァン・フィッシャー氏、オンドレイ・レナウト氏などにも指導を受けました。宮城さんの指揮者人生が一変したのは、ベルリンドイツオペラ管弦楽団のオーボエ奏者・渡辺克也さんをソリストに迎えた公演のとき。「ヨーロッパのオケはもっとすごい。一緒にやろうよ」と渡辺さんに誘われて、2000年スロヴァキア・フィルを指揮しヨーロッパデビュー。大絶賛を受けました。 |
「同じ環境で練習し、本番を演奏するすばらしさ。そのホールにふさわしい音づくりができるのではないか、と考えています」と宮城さん。「国立シンフォニカー」の初公演は2010年10月24日。詳細は下記のオンラインチラシをどうぞ。
▼一橋大学兼松講堂レジデントオーケストラ 「国立シンフォニカー」 創立記念コンサート【PDF 1.6MB】
宮城敬雄(みやぎゆきお)
Yukio Miyagi(Conductor)
1944年大阪生まれ。一橋大学商学部卒業。50歳より指揮を白川和治、クルト・レーデル、ほかに師事、ホルストシュタイン、イヴァン・フィッシャー、オンドレイ・レナウト等に指導を受ける。
2000年スロヴァキア・フィルを指揮しヨーロッパデビュー。翌年同オケとウィーン楽友協会にてコンサートを成功させ、以降毎年、チェコ・ナショナル響、スロヴァキア・フィル、ハンガリー放送響、サンクトペテルブルグ響、ソフィア・フィルなどを度々客演指揮し、好評を博してきた。国内では、2001年サントリーホールにて新星日響(現・東フィル)と、その後来日したミュンヘン響、クロアチアの名門ザグレブ・フィル等と行った各公演はどれも大成功を収めている。
2006年にはスロヴァキアのピェスチャニー音楽祭に招待され、続いてオーストリアのブラームスゆかりの地でオールブラームスプログラムによる記念演奏会を行い話題となる。又、東フィル、宇野功芳氏とのジョイントコンサートを2年連続で行い大好評を博した。
2007年にはスーパーワールドオーケストラを指揮、同年7月にはサンクトペテルブルグ響とロシア”白夜祭”に出演しヨーロッパの聴衆を沸かせ大絶賛される。
2008年5月、ブタペストコンサートオーケストラ5月定期に初めて登場、チェコプラハ市スメタナホールでチェコ・ナショナル響”PROM IN PRAHA”に出演。国内においても北西ドイツフィル、レニングラード国立歌劇場管弦楽団他と協演し、12月一橋大学兼松講堂でのチャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」の初演は情熱溢れる指揮によりオーケストラ、聴衆の共感を呼び最高の”悲愴”と称されるほどの評価を得る。
この名演は世界で大きな話題となり2009年6月サンクトペテルブルグ響と”Musical Collection”音楽祭へ招かれ、本場ロシアの聴衆にも深い感銘を与え大成功を収めた。
又、ニュルンベルグ響とは2009年ドイツ公演に続き、大阪・東京でのコンサートツアーを大成功に導いた。その活動は益々世界的に高い評価を確実なものとしている。精神性の高い人生観と宮城ならではの美学から生まれる指揮は聴く者に新しい感動を呼び起こしている。