暮らしにアート Vol.5

暮らしにアート Vol.5 【暮らし“が”アート 木工作家 イトウタカシさん】
国立のその昔、人が暮らす南部の恵みのもとは、豊富な水。 ハケ(崖線)の湧水と多摩川水系の府中用水が大地をうるおしてきました。 その用水のほとりにあるのが、ワンダーランドのようなイトウさんの工房。
マンタの照明 壁にかかっている巨大なマンタ
谷保にもかつては10カ所以上、米搗きに、生糸生産にと、水車が活躍していた時代があり、工房があるのはそのなかでも最大の、かつて直径5メートルの大水車があった場所なのです。
最初は荒れ果てていた古い家に、少しずつ手をいれ、工房をつくり、花や野菜を育て、谷保の水辺の暮らしを再現。 そのなかから イトウさんの独特な、世界にひとつしかない木工作品が生まれます。
 
マンタの照明 マンタもこれもオリジナル照明器具
「アートは特別なものじゃない」がイトウさんの持論。 「暮らしに必要なものだと思うから。パン屋がパンを作るように、床屋が髪を切るように、僕は木を使って、楽しいものを作っているだけ」
そう、イトウさんの作品が生活の片隅にあると、退屈な日々に、想像の翼が羽ばたいていくような気がするから不思議です。
 
鳥の時計
木と魚の時計
動物の時計
時計の針は銅でできています。左からサギ、オサカナ、シカ(税込10,000円~)。
魚拓 ギョタクなオキモノ?
恐竜 口から入れると…、あれれ? おもしろカラクリ恐竜くん。
猫の台 カメレオンのしっぽ? いえ、猫さんです。
小菅のテーブルとイス
多摩川源流の小菅村の材木を使った コーヒーテーブルと椅子。
小菅のNPOとのつながりで、 地元の材木を使う試みをしています。

入り口イトウタカシ
イトウタカシ木工房北海道生まれ。2000年、国立に工房を設立。 工房内にあるギャラリー「キプラス」で作品を展示中。 入口に看板が掛かっているときがオープン日。
奥様の有吉子(あきこ)さんは一級建築士。自然エネルギー住宅や環境に安全な建材を手掛ける「レインファーム」主宰。二人で協力して家づくりを手掛けることも。レインファーム
取材・文 田中えり子 撮影:横坂泰介(サイコム)