関 頑亭 ~谷保から国立へ~ 【会期】 2011年10月8日(土)~2011年11月13日(日) 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで) ※休館日 10月13日、10月27日、11月10日 【会場】 くにたち郷土文化館 特別展示室 ※JR国立駅南口バス乗場:4番・1番 立川バスで「国立操車場」か「国立泉団地」行きに乗り「くにたち郷土文化館」下車 ※JR矢川駅から徒歩10分
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関頑亭さん展覧会レポート。11/13まで!
関頑亭さんの展覧会に行ってまいりました。色づいた柿やざくろの実を横目に自転車でくにたち郷土文化館へ。受付では記念に絵葉書がもらえました。
郷土文化館で頑亭先生の作品をまとめて展示するのは初めてのことだそうです。
全体は大きく3章にわかれて構成されており、若いころの作品から現在に至るまで、絵画、彫刻、豆本や、大事にしているもの、交友関係についてや、全国にある彫像作品をまとめた映像もありました。
会場に入り作品と対峙すると心が静かに宥められ、雑念が消えて自分がたった一人、自分と向き合うときのような感じがします。
パステル画『谷保晩秋』、『雪の晨』、みていくといろんな気持ちがこみ上げてきます。吸い込まれるような色彩、柔らかな線。ふるさとの優しさ慎ましさ、風景のなかにある歓びを湛えた作品ばかりです。
『五日市』という水墨画、うつくしく繊細でありながら技巧的ないやらしさなど感じさせない、素朴でまっすぐな、本当に心を揺さぶる良い絵なのです。
もっともっと、たくさんの人が頑亭先生の作品に出会ったほうがいいと思いました。
それから、彫像作品。漆を使った「脱活乾漆造」という技法を初めて知りました。
この技法は鎌倉時代以降ほとんど廃れていたものでしたが、頑亭さんが師・澤田政廣氏に渡された破片からその素材を研究し、試行錯誤しながら制作を始めたのだそうです。本会は脱活乾漆造の作品をまとめて拝観できる貴重な展覧会なのです。
頑亭さんのトレードマークともいえる鯰の作品もあります。谷保の古民家にも鯰と「玄妙腹白」の書が彫られた石碑がありますね。
どうして頑亭さんがこの技法に辿りつくことができたか、作品全体が語っています。「壊すことは作ること、作ることは壊すこと」と話す頑亭さん、表現することに常に真摯であるからこそまっすぐ導かれるように形作ることができるのだと伝えてくるようです。
頑亭さんは作家の山口瞳さんとも親しく、エッセイには、「ドスト氏」として登場しています。(ドストエフスキーに似ていることから)
本展覧会では交友関係のわかる写真や手紙等も展示されています。昨年お亡くなりになられた関民夫人とのエピソードも含め、お人柄の魅力も感じられる著作も置いてあります。
豆本なども展示してあります。豆本の絵は一枚一枚の小さな作品のなかに物語を読みとれて丁寧で楽しく、また、虫食いの木(!)を展示してあったのも印象に残りました。これがまた美しく、大事にとってあるところがすてきです。
また、映像では亀山本徳寺にある障壁画や南養寺の物外可什和尚像など普段お目にかかれない作品に目を見張りました。桜の障壁画、実物を見てみたいです。
市内には頑亭さんの作品がたくさんあります。
国立市の市章や谷保天満宮のうそもそうですし、芸術小ホール、谷保天満宮にも作品があります。国立市の誇る文化人の一人としてもっとも愛されている芸術家・関頑亭の展覧会、みなさんもぜひ足を運んでみてください。
会場にはグッズもありました。しっかりした図録も販売されていますし、頑亭先生の鯰がデザインされた手ぬぐいやクリアファイル、ぽち袋なども売っています。
では、最後に頑亭さんの御手をみせていただいたときのお写真を。指が長くてきれいで触りたくなりました。そしてこのおおらかな笑顔、不良老人の魅力が炸裂しています。
頑亭さんは「自分の足で歩かなきゃだめだよ」とおっしゃっいました。人に聞いたり教えてもらうのではなく、自らの足で自然のなかを歩き、知ること。いただいた小さな水彩作品の中の雪山や空の色を眺めるとき、この言葉を思い出し励まされます。
展覧会は今週末まで。
【関連リンク】
関民さんの記事もどうぞ。http://www.vis-kunitachi.jp/miryoku/19159/