「いらっしゃいませ」 髪をオールバックにして白いジャケットを着たマスターの高野さんは、これぞバーテンダーという正当派スタイル。店内はガラスや金属をセンス良く使ったクールな雰囲気です。でもなんだか落ち着く感じなのは、マスターの優しそうなまなざしのせいなのかしら。 「カッコいいお店ね。ジェムストーンって宝石の原石って意味よね?」 「そうです。磨きあげて少しずつ輝きを増していくような店にしたいと思いまして」 「何をいただこうかしら。マスターのおすすめは?」 「最初はスタンダードカクテルをお勧めしたいですね。まずは伝統のある正統派のカクテルを楽しんでいただいて、その上でお客様のお好みに合わせたお酒をお勧めさせていただきたいんです」 「なるほど。じゃあマティーニをいただくわ」 「どうぞ」 「まあ、きりっとしていてとても美味しいわ」 「ありがとうございます」 「マスターはどうしてバーテンダーになったの?」 「大学時代にずっと飲食関係のバイトをしていたんです。卒業してから何をやろうか迷っていたんですけど、当時働いていた店の店長に、僕が酒を作っている姿がとても楽しそうだって、やりたいことって案外すぐ目の前にあるのかもしれないぞ、って言われたんです」 「それでバーテンダーになったのね。それも日本一の」 「カクテルコンテストのことですか。でも優勝まで10年かかりました」 「どうしても優勝したかったのね」 「バーの世界ではやはり都心の店が一流という風潮があります。でもわたしは多摩地区にも一流の店があるんだということを証明したかったんです」 「でも優勝するのは大変なことだったんでしょう?」 「そうですね。毎回良いとことまでは行くんですが、去年は最後の接客がうまくいかなかったのが悔しくて」 「あら、接客には自信がおありのようだけど・・・・・・」 「いえいえ。でも今年は変に力まずにいつもどおりの接客をしようと決めてたんです。それで駄目なら仕方ないでしょう」 「それが評価されて優勝できたってわけね。それは嬉しいわね」 「はい。ありがとうございます」 「バーテンダーになって良かったと思うのはどんなとき?」 「いろいろな方にお会いできるのが一番ですね。バーテンダーは職人だと思うんですが、接客も同時にできるところが面白い。その日のお客様の表情や雰囲気をみてレシピを少し変えてみたりすることもあります。それでおいしいって喜んでいただけたときはバーテンダーになってよかったと思いますね」 「マスターには次の目標はあるの?」 「そうですね、他のコンテストでも優勝したいです。でも地域の方達とのつながりを大事にしなから、ずっとここ国立でバーをやっていくことが一番の目標ですね」 「素敵ね」 「僕はもともと国立市民ではないんです。でも、だからこそ国立の良さを理解できるし、国立の街やお客様が大好きなんです。お客様に磨いていただいて、ますます輝きを放つ店にしていきたいと思っています」 カウンターにずらりと座っているお客さんたちは、きちんと背筋を伸ばして正統派のカクテルをじっくりと楽しんでいるみたい。ここに来るお客様は、伝統に敬意を払いながら、一流であり続けることを目指しているマスターの考え方に共鳴しているのね。
ジェムストーン | |
住所 | 国立市 東 1-18-7 ぐらんぽると国立 1F |
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TEL | 042-575-7728 |
定休日 | 不定休 |
営業時間 | 17:30~03:00 |
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