BORTON 菓子屋

今年の6月で丸1周年を迎えた「BORTON 菓子屋」は、富士見通りから一歩裏通りに入った閑静な住宅街の中にあります。

開店当初、オーナーの石川さんご夫妻は「こんな住宅街の中にあって、お客様は来てくれるのだろうか」と懸念していたそうですが、最近では、お客様の口コミなどで確実にファンが増えてきているそうです。「この辺りには個人経営のお菓子屋さんが沢山あるので、そういったお店をまとめて訪問する際に、うちのお店にも立ち寄って下さるという方が多いですね」。
“お菓子屋巡り”を楽しんでいるのは主に20代~40代の女性に多く、週末になるとご夫婦で来店される方も結構いらっしゃるとか。

お店の内装は至極シンプルで、白と茶が基調になっています。お菓子の入ったショーケースやイートインコーナーのテーブルや椅子などは古道具屋さんを回って一つ一つ買い集めたものだそうで、服飾の仕事に就いていた奥様のセンスが光ります。

お店の内装を手掛けたのは、国立のアートギャラリー「ラマパコス」のオーナー兼造形作家の関田孝将さんです。

「最初から白と茶で統一するつもりはなかったのですが、夫婦で意見を出し合っている内に、今のような感じに落ち着きましたね」

店頭に並べられているのは、パイやタルトなどの焼き菓子です。「自分たちが食べて美味しいものを提供したい」というコンセプトの下、素材の味を活かしたシンプルなお菓子を作っています。

何層にも折り重ねられたパイ生地は、外はパリッと中身はフワリと焼き上がっておりサクサクの食感を楽しめます。石川さんは毎日一時間以上かけてパイを焼き上げています。特に夏場はバターが溶けるのが早いので、表面のバターが溶けだしたらすぐに冷蔵庫に入れて生地とバターが混ざらないようにするなど、細心の注意を払って品質管理に努めています。季節の果物がたっぷりと乗ったタルトは甘味と果物の酸味が相まって、後を引く美味しさです。原材料のアーモンドペーストを控えめにすることで、口当たりよく仕上げているそうです。

「パイもタルトもしっかりと焼き上げて水分を飛ばすのが肝心で、そうすると冷めた後でも変わらずに美味しく召し上がって頂けます」

焼き菓子に使用している小麦粉は九州産の「九麦いずみ(くばくいずみ)」で、この粉を使うとしっとりした食感に焼き上がるのだそうです。イチジクやスモモ、柑橘系などの旬の果物は、福岡にある「いわくま果樹園」からお取り寄せしています。こちらの果樹園では除草剤などを一切使わずに手間暇かけて果物を生産しています。

イートインコーナーではパイやタルトだけでなく、月替わりのパフェやコーヒーゼリーなども食べられます。お店では、パフェの中にいれるクッキーやフルーツのコンポートも全て手作りしています。お菓子によく合う薫り高いコーヒーは大分県耶馬渓にある「豆岳珈琲」のもので、こちらのコーヒーは水出しアイスコーヒーやコーヒーゼリーにも使われています。

九州産の食材をお取り寄せしている理由について、石川さんは「九州産の食材は美味しいものが多いのです。うちのお店で九州産の食材をメインに使っているという話を聞いて、九州出身の方などもよく訪ねて来られますね」と説明してくれました。

石川さんがお菓子作りの魅力に目覚めたのは、7年間滞在していたロンドンでのことでした。和食屋で料理人として働く傍ら、休日などに、趣味でお菓子作りをするようになったのです。その内、本格的なフランス菓子などにもチャレンジするようになり、「仕事としてやっていきたい」と思うようになったといいます。その後、奥さんの実家のある福岡に親子3人で帰省して、2年間ほどフランス菓子のお店で修業を積んでから、現在のお店を開くことを決意しました。

この一年間、夫婦でお店をやって来て、「お店というのは、まさに、一日、一日を積み重ねていくことだ」と実感させられたといいます。

最近では、関西や千葉、埼玉など遠方からお見えになるお客様も増えてきて、午後にはお菓子が売り切れてしまうことも少なくないといいます。そんな中、お客様からの「こんなお菓子は初めてです」「すごく美味しかったです」などの言葉が何よりの励みになるとか。

お店のHPやインスタグラム、Facebookなどで随時、最新のお菓子の情報を流しているので、お好みのお菓子をチェックしてから出かけてみるのも一興です。

国立駅からの道のり

中央線国立駅南口より徒歩12分。国立駅から1,000m。

基本情報

店舗所在地
国立市西2-9-74
営業時間
11:00~18:00 ※売り切れ次第終了
休業日
日曜・月曜・祝祭日
ウェブサイト
https://www.instagram.com/kashiyaborton/?hl=ja