みんなのコンビニ
「みんなのコンビニ」。なにやら楽しそうなネーミングです。2023年4月29日にオープンしたこのお店。どんなコンビニなのでしょう。
JR中央線国立駅南口から富士見通りに入り、南西に向かってひたすら20分ほど歩きます。JR南武線矢川駅北口からも徒歩およそ15分。近隣に小学校や音大付属校、郵政大学校がある閑静な住宅街にあります。
五差路のかどっこ、富士見通りに面したちょっととんがった三角形のお店。7坪ほどの店内にはたくさんの棚が並んでいます。
ひとつひとつの棚がそれぞれお店のような仕掛けで、アクセサリー、本、文具、チャイ、コーヒー、雑貨、お菓子、調味料、そして冷蔵庫には冷たいドリンクなどなど多様な商品構成です。価格帯にも幅があります。
平棚におにぎりやお惣菜が並ぶ日、キッチンを使って淹れるチャイやコーヒーが飲める日もあります。
木製の棚に並ぶ商品たちは作家ものであったり、プライベートブランドであったり。どれもが魅力的で個性豊か。作り手・売り手からのメッセージが聞こえてきそうです。
みんなのコンビニは建築家であり国立ではシェア商店「富士見台トンネル」を主催している能作淳平さん、不動産業を営み、自宅でコーヒースタンドも運営している佐竹雄太さん、国立市を中心に複数のまちづくりに携わり、求人メディア「国立人」を運営している加藤健介さんが発起人となって企画。有料会員制で個々の棚をシェアして運営しています。
「ひとつひとつの棚に店主がいます。大手コンビニのようにいつもの定番商品が配送されてくるのではなく、棚店主がそれぞれに思い入れのある商品を供給し管理するというこのまちならではのコンビニです」と加藤健介さん。
「新しい働き方を模索している人、さまざまな理由で積み上げてきたキャリアを中断したりあきらめたりしている人、やりたいことがあるのに踏み出せないでいる人を見るにつけ、その思いを“商い”として育てていけるチャレンジの場があってもいいのではないか。商いをしていく上で抱える不安を支える役割を担っていかれないか、というのが根底にあります。買いものをしに来る人にとっては、他では出会ったことのない商品やこのまちらしさを感じる商品に出会える楽しさがあります。ここがみんなで応援して育てていくプラットフォームであればと思います」
出店者はすでにお店を持っていたり販売をしたりしている人、初めてのチャレンジで商品を販売するという人など顔ぶれも多彩。中には「私が食べたものの記録」を粘土で作り、マグネット仕上げにしたお子さんの作品もあります。
飲食店営業の許可も取得しているので、コーヒーが飲めます。棚店主がチャイを淹れてくれることもあります。
折に触れてイベントも行われ、狭いながらも楽しい空間です。
ある棚店主さんは「普段は店舗スタッフがいてくれるので販売をお任せしていますが、イベント開催時や自分の都合がつくときには私も顔を出しています。ここは出店者同士のコミュニティスペースでもあり、お客さんとの会話の中で自分が作り出品しているものがどのように受け止められ、売れていくのかを実感できる場でもあります。いかんせん人通りは多くないのだけれど、自分なりの方法でリサーチができるかもしれないと考えています。住宅街ですから、おうちにいる方たちをさらに引っ張り出せるような魅力を持てたらいいですね。その可能性はあり、だと思います」と語ってくれました。
お買いものにはちょっと不便なこの立地で、手軽にお昼ご飯やおしゃれなもの、実用品が手に入るのはありがたいこと。
棚店主とお客さんが直接触れ合うことで「こんなものを提供したい」の気持ちと、「こんなものがあったらうれしい」の思いが交差する瞬間が、これからもいくつもいくつも生まれていきそうな、わがまちのコンビニです。
- 店舗所在地
- 国立市西2-20-10 第2村上ビル1階
- 営業時間
- 11~18時
- 休業日
- 月曜定休
- ウェブサイト
- https://minnanoconveni.com