国立本店
国立駅南口を出て線路沿いに西へ4分ほど歩いて見えてきたのは、人と本、そして地域を結ぶ活動を行う「国立本店」。「国立本店」。本屋ではなく、いつでも誰でも歓迎のコミュニティスペースです。
このスペースを運営しているのは、「ほんとまち編集室」の皆さんです。毎年夏にメンバー募集をかけ、現在の在籍人数は約30名。10代〜60代という幅広い年代のメンバーがテーマに応じてお気に入りの本を紹介する「ほんの団地」という企画をレギュラー展開しながら、柔軟な発想で様々なイベントを主催しています。
「ほんの団地」。現在「ズカン」をテーマに展示がなされています。
「ほんとまち編集室」メンバーの皆さん。交代で店番をしています。
「国立本店は、どなたにでも開かれている場所。本が好きな人、まちが好きな人、なんとなくそういったものに興味がある人。そこに繋がりを作っていくことはもちろん、来てくれた皆さんが国立というまち自体について知るきっかけになれたら嬉しいです」
こう語ってくれたのは、「ほんとまち編集室」室長を務める加藤健介さん。
加藤さんがこの場所に辿り着いたのは、2013年。知り合いに誘われて「国立本店」主催のイベントに参加し、渋谷で会社員をしながら「ほんとまち編集室」の2期メンバーとなったのが始まりでした。それがこのまちの良さを知る契機となり、3年前、国立に移住しました。4期以降は室長となり、現在は独立開業をしてまちづくりやデザインの仕事を行いながら、引き続き「国立本店」の運営に携わっています。
「ほんとまち編集室」室長の加藤健介さん。
メンバーの皆さんがこれまでに行ってきた活動は多岐に渡っています。
例えば、国立市の前身である「国立大学町」ができた当初に分譲された貴重な住宅「旧高田邸」と、家主で校医・作家でもあった「高田義一郎」の風化しかけていた魅力の再発掘。「旧高田邸」が解体される前に、その存在をより多くの方に知ってもらおうと、地域の有志の方々と共に一般公開イベント(さよなら会)を行いました。来場者数は、なんと10日間で延べ3000人にものぼりました。
さらには、公募した参加者と市内を練り歩きながら様々な場所を取材・制作した本、「国立文庫」。こちらは、まちをフィールドとして活動するアーティスト・木村健世さんとコラボしたアートプロジェクトです。もっとこの国立のまちを知ってもらいたい、という強い思いから、国立の人々が紡ぐ一つひとつの物語を、みんなで集めて1冊の本として形にしました。
また、まちの銭湯「鳩の湯」さんの再建応援クラウドファンディング「ポッポプロジェクト」も印象深いものとなりました。多くの賛同を得たことはもちろんのこと、銭湯絵師・丸山清人さんによる富士山の銭湯絵ライブペインティングは、たくさんの来場者を集め、好評を博しました。
「ほんとまち編集室」の皆さんが手掛けた本たち。販売もしています。
このような地域と密接に関わり合う活動に加え、「ほんとまち編集室」は、個人の発想や興味関心を大事にした企画も主催しています。その対象が本であれば、読書会や、ブックトーク。音楽であれば、ブラックミュージックについて語るブラックノイズ・ファンクラブ。健康であれば、鍼灸師を招いた温活講座。自由に活動する中で生み出される企画は、どれも気軽に誰もが参加できる楽しいものばかりです。
明るく、あたたかい雰囲気。立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
また、加藤さんによれば、「国立本店」では10人ほどの現役中高生たちが独自のグループ「道草」を立ち上げているそうで、こちらもとてもおもしろい取り組みをしています。活動のひとつ <人生の道草> では、固定観念に縛られずに将来を見据えるべく、色々な生き方をしている大人達から話を聞き、<放課後の道草> では、学校の垣根を越えて集まった中高生たちが毎回テーマを設けてざっくばらんに話をしているそうです。
このような世代と立場を越えた触れ合いを実現する「国立本店」の活動からは、このまちが持つあたたかさがおのずと見えてきます。
未だコロナウイルスが流行中ですが、「ほんとまち編集室」の皆さんは屋外でのまち歩きや、オンラインイベントも積極的に検討されています。もちろん「国立本店」で行う企画も夏に向けて徐々に増やしていく予定とのことですので、公式HPにて是非チェックしてみてくださいね。
あなたがまだ知らない国立の魅力。「国立本店」に行けばきっとそれを味わうことができますよ。
- 店舗所在地
- 東京都国立市中1丁目7−62
- 営業時間
- 13:00〜18:00
※コロナウイルス流行に伴い、営業日時が変更されています。詳しくはHPをご覧ください。 - 休業日
- 月・木曜定休
※コロナウイルス流行に伴い、営業日時が変更されています。詳しくはHPをご覧ください。 - ウェブサイト
- http://kunitachihonten.info