旧国立駅舎
令和2(2020)年、国立市のシンボル、赤い三角屋根の「旧国立駅舎」がJR国立駅南口に帰ってきました。平成30(2018)年に再築工事が始まり、約2年の歳月を経て、大正15年(1926)年の創建当時と同じ姿で再築され、公共施設として生まれ変わりました。文化財としての役割もちろん、街づくりの歴史を紹介する「展示室」、観光案内所機能を持つ「まち案内所」、待ち合わせや休憩だけでなく、イベントスペースなどの多目的スポットとして活用できる「広間」「屋外スペース」から構成される、魅力あふれる「旧国立駅舎」の見どころをご紹介していきましょう。
赤い三角屋根に白い壁が特徴的な「旧国立駅舎」が建設されたのは、今からおよそ100年前。箱根土地株式会社(現:株式会社プリンスホテル)と東京商科大学(現:一橋大学)が共同で進めていた「国立(くにたち)大学町開発」のシンボルとして建てられた街のランドマークでした。大正15(1926)年に開業した後、平成18(2006)年のJR中央線高架化工事に伴い解体され、多くの市民から惜しまれつつ、80年にわたる駅舎としての役目を終えました。
大正時代の木造建築でありながら、西洋の要素を多く取り入れ、イギリスの田園都市住宅をモチーフに設計された「旧国立駅舎」は、赤い屋根に白い壁、ロマネスク風の半円アーチ窓やドーマー窓(赤い屋根から、ちょこんと飛び出している出窓。昭和40年頃に撤去されていました)、イギリス製・アメリカ製の列車の古レールを使った柱など、すべてが個性的。大変希少価値の高い歴史的建造物であった「旧国立駅舎」は、解体と同時に市の有形文化財に指定され、将来再構築できるようにそれぞれの部材は大切に保管されてきました。
「旧国立駅舎」の再築には、随所に当時の建築部材が使用されています。今は隠れて見えなくなってしまいましたが、木造建築として建てられた当時の部材のうち、腐食した部分を「根継ぎ」という宮大工の技術を用いて補修。「切符売り場」や、荷物の受取場所して使われていた「出札窓口」なども、プリンスホテルに残されていた当時の手書き図面(青焼き)を元に、すべて大正時代と同じ姿に再築されています。国立の街が作られていく様子や再築されていくまでの過程などを記録した資料は、「展示室」にてご覧いただくことができます。駅舎の歴史を再確認したい方、建築がお好きな方…驚くような資料が盛りだくさんですよ。
大きな丸いベンチが印象的な「広間」は、令和の待ち合わせスポットに。このベンチは、今回の再築で使用できなかった部材を再利用して作られているとのこと。素敵ですよね。昼間は大きなアーチ窓から明るい日差しが差し込む心地よい空間は、市民の憩いの場としてはもちろん、今後は各種イベントスペースとしても利用されていく予定です。
広間と国立駅をつなぐ木製の改札口。「懐かしい…」と感じる世代の方もいらっしゃるはず。「Suica」や「PASMO」がなかった時代は、駅員さんが切符をパチンと切ってくれていたあの頃の改札も、今は“小さな駅員さん”たちの楽しい遊び場になっているのだとか。そんな姿を微笑ましく眺めながら、色あせない当時の思い出に浸ってみるのもいいですね。
切符売り場の内側は、国立市観光まちづくり協会による「まち案内所」になっています。館内の説明や観光情報の提供、イベント情報の案内など、スタッフの皆さんが丁寧に対応してくれます。このスペースには、なんと国立を代表するおみやげ物がずらりと勢ぞろい。人気店のあの味や、かわいらしい“くにニャン”のグッズが盛りだくさんです。国立に来られた方はもちろん、お出かけの際のちょっとした手土産にも喜ばれる便利な品も、ここでお買い求めいただけます。
見どころ満載の「旧国立駅舎」。懐かしい思い出に浸る人も、ここを利用して日々の暮らしを育む人も、ここから新しい未来に向かっていく人も…。時代が流れてもこの街のシンボルであり続ける赤い三角屋根の「旧国立駅舎」。市民の心のよりどころとして、新たな役割を2020年からスタートさせました。駅舎と一緒に新しい歴史を刻んでいきましょう。
2020年12月20日、旧国立駅舎に東京国立白うめロータリークラブより、「SCHIMMEL」のピアノが寄贈されました。ピアノの演奏について、くわしくはこちらをクリック。
- 店舗所在地
- 東京都国立市東1-1-69
- 営業時間
- 平日 7:00~22:00
土日・祝祭日 9:00~22:00
ただし、まち案内所と展示室は平日10:00~19:00 土日・祝祭日は9:00~19:00 - 休業日
- 年末年始(12月29日~1月3日)
- 禁煙・喫煙
- 禁煙
- ウェブサイト
- http://www.city.kunitachi.tokyo.jp/kyukunitachiekisha_specialsite/index.html