つばさクリーニング
衣類のクリーニングというと、窓口で受け付けて処理は工場で…というイメージが定着した昨今ですが、自家洗いで仕上げてくれるクリーニング屋さんもまだ残っています。
旭通りから一本入った「つばさクリーニング」もその一つ。
丁寧な仕上げやシミ抜きの技術に定評があり、良いものを長く着たい地元の人に支持され続けています。
カラカラ…と引き戸を開けると目に飛び込んでくる、たくさんの衣類。
すぐ傍にプレス機やアイロン台が並ぶ様子は、大手のクリーニングチェーンでは見られない光景です。
出迎えてくれたのは峰岸秀征(ひでゆき)さん。国立市体育協会の会長職も務めながら、現在も店に立ち続けています。
「店自体は息子に譲っていますが、働くのが好きで」と顔をほころばせつつ、「昔は市内に19軒のクリーニング店がありました。今は3軒。その中で跡継ぎがいるのはうちだけになってしまいましたね」と現状を語ります。
つばさクリーニングが開業したのは昭和44年(昭和48年に現在の場所へ移転)。
秀征さんの親戚も高円寺や荻窪でクリーニング店を営んでいることから、店を持つのは自然な流れだったといいます。
一口に衣類と言っても、その素材はさまざま。預かった服はじっくりと見定め、水を通す時間の長さや乾燥の温度まで細かく調整するのだそう。
「本当のクリーニングというのは、アナログ仕事をしないとダメなんです。アイロンをあてるときも、洗いで縮んだ部分を伸ばすように滑らせて縫製時の形に戻すことで、グンと着やすい仕上げになります」
襟やボタン周りも丁寧に仕上げると「ワイシャツやブラウスのボタンが留めやすくなる」と聞いて、目から鱗でした。
石油系のドライ機や水洗いのための機械。パネル盤で温度や時間を調節し、洗い分けています。
「たんぱく汚れと油脂汚れでは、落とし方が全く違う。本当の意味でのダブル洗いをかけた服は、年数が経ってもシミが出ません」と秀征さん。
息子の征志さんが得意とするのは「しみ抜き復元加工」
古い汗ジミやボールペンのインクなど、通常のクリーニングでは落としきれないシミも対応してくれます。
かかる時間を考えると決して採算が合う分野ではないそうですが、「気に入った服を長く着てほしい、お客さんに喜んでほしいから」と続けています。
洋服以外にも着物や和服、革靴、かばん、絨毯、布団などの特殊クリーニングを行うほか、自社工場併設の強みを活かした即日仕上げのサービスも(お急ぎ料金1点300円~)。
評判を聞きつけ、他市からもお客さまが来るそうです。
「平成に入った頃から生活文化の向上と共に、衣類も多様化してきました。ネクタイを着用しなくても良い場所が増え、コロナ禍・リモートワークの普及でスーツやワイシャツ自体も着なくなってきましたし。クリーニングと文化は並行しています」と秀征さん。
その一方で「持ち込みには若い人も多いです。経営者層でも縫製がしっかりしていればファストファッションを買いますし、ヨーロッパでは8万のセーターを大切に長く着る。要はどこに価値基準を置くか」とも話してくれました。
プレス担当の奥さまも含め、家族ぐるみでまちに根付いた「つばさクリーニング」
お気に入りの服を預けたくなるお店です。
- 店舗所在地
- 国立市東2-6-24
- 営業時間
- 9~20:00(火・金は不定期で19時まで)
- 休業日
- 日曜・祝日
- TEL
- 042-575-6242
- ウェブサイト
- https://kunitachi.shop-info.com/u/36236/tubasa/