国立の有名洋菓子店 レ・アントルメ
ファミリーマートのクリスマスケーキの監修などで知られる人気パティシエ、魵澤信次さんのお店「レ・アントルメ」は国立市にあります。 左の写真は「エクセレンス」400円。魵沢さんが20年前、MOFのフランス人に教わった配合でつくり続けているものです。 ※MOFは「Meilleur Ouvrier de France」の略で、訳すと国家最優秀職人賞。日本の「人間国宝」に相当するものと言われます。 魵沢さんが目指しているのは「基本を大切に、良質な素材による本物のおいしさをみなさまにお届けし、その笑顔を見ること」。 レ・アントルメのショーケースには、アントルメ(ホールケーキ)、プチ・ガトー(小さなケーキ)、ショコラ、マカロン、焼き菓子、パンなど、たくさんの商品が並んでいます。なぜ国立にお店を開こうと思ったのか
魵沢さんは16歳から職人の道に入りました。 その際、国立のレストランで勤めていたことがあったそうです。 「大学通りと学園通りの交差点にあったBELLというレストランで働いていたことがあったんです」 その後18歳の時に日本に最初にフランス菓子を広めた超有名店、ルコントに入社。 オーナーの計らいで日仏両国で修業を重ね、シェフ・製菓部長を勤めました。 そして35歳の時(1993年)、BELLがあった場所に独立一号店「レ・アントルメ」を開業しました。 2010年には2号店となる「レ・アントルメ キッチンバウム」を市内の旭通りに開店しました。 「僕のうちは貧乏で、母親から高校に行かせることができないと言われたんですが、僕はケーキ屋になるから大丈夫、と言ったんです。僕の小さい頃と言ったら、ケーキなんかはめったに食べられない時代でした。今はお店を構えて、食べてくれたたくさんの人が笑顔になってくれて、幸せだと思います」最近では教えることに力を注いでいる
近年では日本洋菓子協会連合会の技術指導部副委員長になり、若手に教えることが多くなってきたという魵沢さん。今年で56歳ですが、指導のため日本全国の製菓学校などに足を運んで授業をしています。「職人としての一番名誉ある仕事だと思います」。 最近ではパソコンソフトのイラストレーターを勉強して、自分で解説図をつくっているんだとか。 またファミリーマートのクリスマスケーキ監修は2012年、2013年と立て続けにモンドコレクションを受賞。この仕事はプライドの仕事だと思っていると魵沢さんは言います。 「東日本大震災のあと、まだ復興が進んでいない地域もたくさんある。そんな中で、ファミリーマートの販売網なら津々浦々までケーキを届けることができる。ケーキでちょっとでも温かい気持ちになっていただけるような、そういう仕事が少しでもできているんじゃないかと思っているんです」経歴
魵沢信次(Ebisawa Shinji) 1958(昭和33)年12月4日 東京都生まれ 有限会社レ・アントルメ 代表取締役 有限会社ミニョンディーズ取締役 1975年 調理師免許取得 1981年 日本におけるフランス菓子の先駆者・アンドレ・ルコント氏に師事。株式会社ルコントに在籍しながら、フランス・ルノートル製菓学校およびフランス有名店での修行に励むとともに各賞を受賞。その後、株式会社ルコントの製菓部長を務める 1993年 東京都国立市に「レ・アントルメ国立」を開店 1995年 東京都国立市に「オテル・ドゥ・ヴィル」(紅茶とチョコレートの専門店)を開店 1997年 社団法人日本洋菓子協会連合会 技術指導部委員に就任 1999年 社団法人日本洋菓子協会連合会 全国技術指導部委員に就任。以降、全国各地での講習会の講師を担当 2000年 国立市大学通りに「レ・アントルメ国立」を移転改装開店(「オテル・ドゥ・ヴィル」を本店に統合) 2006年 社団法人日本洋菓子協会理事に就任。”ACADEMIE CULINAIRE DE FRANCE”に入会 (株)ファミリーマートの要請により、同社の全国9,500店で販売される一部の「スイーツ」の監修を手掛け、現在も継続中 2011年 国立市旭通りに「レ・アントルメ キッチンバウム」を開店(バウムクーヘン・国立バウム等を主に販売。子会社ミニョンディーズが主管) 2012年 社団法人日本洋菓子協会連合会 技術指導部副部長に就任 書籍も出版していて、『レ・アントルメ国立 魵澤シェフの、美味しいパティスリー・サレ ~ケーク・サレからピザ、キッシュまで~』(シンコーミュージック・エンタテイメント出版)などを執筆しています。レ・アントルメ ホームページ