「くにたちを食す くにたちを語る 」~子どもたちの野菜事情と学校給食~ 協力:エコール 辻 東京vol.3 5/7

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子どもたちの野菜事情と学校給食

石井
それは、とっても良い事だと思います。子どもたちが地元に愛着を持つという意味でも、地産地消はたいせつです。
菱沼
そうですね。この間、何だったかな~?正確な名前は忘れましたけど、地元の物を使う日っていうのがあって、国立の小・中学校とか。 今まで、お米とかは全然使ってなかったんですけど、でも、その日だけは国立のお米を使おうって。
菱沼
蜂蜜を使ったスイーツとかも出したりとか。 結構、給食センターが頑張ってくれていて、その面では。
石井
給食っていちいち考えないで子供は食べちゃうじゃないですか。 でも、例えば1日そうやって決めて話題にもしてくれると、食べるときの気持が少し変わるかもしれませんね。
菱沼
給食って、センター方式でいくか、自校式でいくかっていう問題が常にあって、国立はセンター方式なので、どうしても料理が冷めてしまいます
石井
そこは課題ですね。
菱沼
しかも生が運べないんですよね~。 生野菜が出ないんですよ。基本的に。
石井
生野菜は運べないんですか!?
菱沼
自校式だと、生野菜を使う所もあるみたいなんですけど、センターだと温サラダみたいな感じになっちゃう。
石井
それはもったいない・・・。
菱沼
国分寺は自校式で、自給率的には高いんですけど、いちどに必要な数が少ないんで農家さんはこまめに入れるんですけど。ただ、儲かっていうと、ちょっと難しいっていう・・・。 センター式だとまとめて納入するので、ビジネスとして見たときに農業者としては効率がいい。
石井
一番いい方法って何なんでしょうね?
菱沼
自校式かセンター式か、その答えを出すのは難しいです。 経営的にもやっぱり販路を幾つか農家さんが持っていないとリスクもありますし。ん~、難しいですね。
石井
そういうことはたぶん、国立だったら菱沼さんが一番やるべき仕事ですよね。 私としてはとても期待しています。
菱沼
(笑)
スタッフ
リクルートの大学進学の雑誌に菱沼さんのインタビューが出ていました。全国で3名のうちの一人で。
菱沼
テーマが良い大学に行って良い企業に入るだけじゃないよみたいなので(笑)。いい文脈で書かれてました(笑)
石井
大きな会社を蹴ってでも良い仕事があるんだよっていう話ですね。
学生
メインのお料理です。羊のお肉を使った料理には国立野菜のロマネスコとカブを使用しております。 スズキのポアレには、ポロネギをフライにしたものをのせてあります。
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菱沼
あ~、すばらしい!ポロネギは是非食べていただきたかったので。
石井
はい・・・本当はネギ、苦手なんですけど。 正直な事言うと、国立に住むまで、野菜が大嫌いだったんです(笑)
菱沼
前はどちらにお住まいだったんですか?
石井
えっと、調布です。もともと調布で。 子供の頃から野菜が嫌いで、特に人参やネギは大嫌いで食べられなくて。 国立に来て、国立ファームの「農家の台所」さんに行くようになって・・・。 井戸サラダを食べてから「あれ?野菜ってもしかして美味しい?」って気付いたんです。 それから、しゅんかしゅんかさんがお店出をされて、朝採れの野菜を食べ始めたら、もうバッチリ野菜に目覚めちゃって。
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菱沼
そうですか。それは嬉しいですね。
石井
それは、大人と子どもの味覚の問題とか、野菜自体ももちろん美味しいのだと思うんですけど、でも・・意識が変わると、それまで嫌いだと思ってたものも実は、とても好きになっちゃったりして・・・。結構簡単に、コロッと変わっちゃうんですよね。
石井
人間の脳って騙されやすいから、人参まずい!って覚えたら、何を食べてもまずいような気がしちゃう・・。受け付けないんですよね。でも、一回人参美味しいってスイッチが入ったら、もう美味しくてしょうがない。(笑)

対面販売そしてサービスのこと

石井
今は家庭用の調理器具なども、色々便利な物が出てきたから調理もしやすいですよね。
菱沼
いや、逆に飲食業界は大変です。家でも美味しいものが出来ちゃうから。
石井
でも、プロのお料理を食べると、やはり家とは全然違うなっていう実感はありますよね。
菱沼
そこは飲食でもそうですし、農業っていうか、農家さんでもそうなんですけど・・手間暇かけたものの価値っていうのがあると思うんです。 そういうのがわかる街に・・是非、国立も・・国立だけって事はないんですけど、国立になって欲しいっていう感じはありますね。
石井
そうですね。 国立の客層としては、そういうことを判ってくれそうな方は多いですよね。
菱沼
むしろ意外と質実な感じの方が多いかもしれないですね。
石井
国立のような場所を住む町として選んでいる方って、経済的にある程度安定していると・・今度は、健康の事とか自分の体に気遣ったりとかってなりますよね。
菱沼
当然、そういう方は多いんじゃないかな。
石井
そういう時に、食べ物って一番大事ですもんね。
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菱沼
うちがお店創めて一番意外だったのは、お子様連れの客層がすごく多くて・・。もうちょっと年齢層が高めになるかな~?と思ってたんですけど。 お子さんいらっしゃる方ってすごい気にされるというか。さっきの話じゃないですけど・・何を子供にたべさせるのかっていうのを、僕が想像してる以上に気にされるんだな~と。
石井
お母さんたちが一番気にされるんだと思いますね。 自分たちは、もう大人だからいいけど・・・子供の口に入るものはとても大事です。
菱沼
そうですよね。
石井
子供の教育の為に国立を選んだっていう方も結構多いですから、そういう方はもちろん食事にも気を遣われますね。
石井
お店の話にもどりますが、お店をやるってなったら,お料理が美味しいのは勿論なんですけど、サービスもとても重要ですよね。お客さんが通う一つの理由は、そこに行くと気持がいいとか、サービスで心地良い感じを味わうと・・つい常連になってしまいます。
菱沼
素材が持ってる美味しさにプラスする部分ってすごい大きいじゃないですか。それって僕らみたいな野菜の流通業者にも同じ事が言えて。 飲食店のホールスタッフの方は、料理を流通させているわけだけど、僕らは野菜を運んで、その時にお客さんにどういう説明をできるのかっていうのが・・・「こういう料理をした方が美味しいですよ」とか、「農家さんこういう工夫してるんですよ」みたいな感じが、それだけでもより美味しく感じられるので、そういう事がうちもすごい課題なんですよ。うちも全部が正社員ってわけにもいかないですし、大学生のアルバイトさんが、店頭に立ったりする事になるので、そこをどういう風にお客様に伝えていけるかっていうのがすごく課題ですね。
石井
もしかしたら、レストランだけじゃなくて、しゅんかしゅんかさんみたいなお店屋さんもそうなんですけど、お店の方が、「これってこうしたら美味しいですよ」とか、「今日の○○はとても美味しいですよ」とかって言ってくれたら、そこで洗脳されちゃうんですよ。これはぜったいに美味しいぞ!って(笑)
石井
そこが対面販売の良さですよね。スーパーだとほぼそういうのが無いわけですから。ただ、選んで買ってきて食べるだけ・・・。 こう顔を合わせながら、やり取り出来る店舗さんって、そこで色々教えてもらうと、自然と通う回数が多くなりますね。
菱沼
でも、教えてくれるお客さんも、多いですよ。 「こうやったら美味しいよ・・」みたいな(笑)
石井
逆にね、それはいいですね。それもまた、対面販売の醍醐味かしら。