未来のパティシエ vol.4 菊地 和寛さん

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PA1将来は、パン屋さんでしっかりと修業を積み「クープ・デュ・モンド」などの世界大会に出場できるようになって実力を試したい。そして故郷で自分のお店を開いて、地域の人たちに恩返しをしたいです。 
辻製菓技術マネジメントカレッジ 2年生・菊地和寛さん 福島県立修明高校・文理科出身
 
混ぜ合わせた生地を用意しておいた型に流し込みます。
混ぜ合わせた生地を用意しておいた型に流し込みます。
焼きあがった生地をナイフで型からきれいにはずします。
焼きあがった生地をナイフで型からきれいにはずします。
鍋で煮詰めたジャムを生地全体に流し表面をならします。
鍋で煮詰めたジャムを生地全体に流し表面をならします。
調温したチョコレートの糖衣を、ジャムでおおわれた生地にかけ仕上げます。
調温したチョコレートの糖衣を、ジャムでおおわれた生地にかけ仕上げます。
~お菓子作りの思い出~ 実家は福島県の塙町(はなわちょう)で小さな旅館を経営しています。 旅館という仕事柄、小さな頃から和食を食べて育ってきたせいか「お菓子への憧れ」が強く、よく母と一緒にチーズケーキなどのお菓子作りをしました。 中学生の頃には「将来はお菓子の道に進みたい」と決めていました。 高校生になって、進路指導の先生に「お菓子の道に進むこと」を相談すると、エコール 辻 東京を教えてくれました。 「エコール 辻 東京」のオープンキャンパス」には何度か訪れ、そのたびに入学したいという気持ちが強くなりました。 オープンキャンパスで先生が焼いたパンを食べたときのおいしさが忘れられません。エコール 辻 東京に入学しようと決めた瞬間でした。
~パン作りの楽しさに目覚めて~
p6入学した当初はお菓子の道へ進むつもりでしたが、製パン担当の橋本素明先生の授業を受けて、実際に自分でパンを焼いてみると、想像以上に楽しかったので「将来はパン職人になろう」と気持ちが変わりました。橋本先生は、一言でいえば「アンパンマン」に登場する「ジャムおじさん」みたいな方です。先生の授業は専門性が高く、非常に勉強になるのと同時に、その講義も毎回とても面白いのです。 パン作りは生地を発酵させ、焼き上がってみるまで出来上がりがどうなるか分からないところがあります。そこがお菓子作りと違って、まるで冒険しているようで楽しいのです。 春からは、100年以上歴史のある大手のパン屋さんに就職することが決まりました。その会社に決めた一番の理由は、オリジナルのパンの製造の30%以上を現場の職人さんたちに任せているからです。職人さんを大事に育てているのだと思いました。 就職の報告に行くと、担任の韮澤俊先生から「すごく楽しい所に就職できて良かったな」という温かい言葉を頂けてとても嬉しかったです。
~国立の街で暮らして~PA7
現在、国立駅のすぐそばのアパートで一人暮らしをしています。 基本、自炊をしているので買い物などは地元のスーパーや個人商店を利用します。特に、国立市はパン屋さんが多いので、パンは色々なお店で幅広く購入しています。 学校からも近い「谷保天満宮」へは友人と「就職祈願」のお参りに行き、無事、就職が決まったのでお礼のお参りにも行くつもりです。
~パン作りで大切なのは練習を繰り返すこと~
家では暇な時間を見付けてはパンを焼く練習をしています。家には学校にあるような発酵器がないので窓を閉め切ってお風呂場のドアを開けて、湿度を高めて発酵を促すなどの工夫をしています。 学校では「スキルアップ」といって自主練習の時間があり、朝、先生に自分の粉を渡しておくと放課後までに先生が生地を練って発酵させておいてくれます。 その生地を「分割」して「成形」してから「クープ」(切込み)を入れて焼き上げるのですが、その時にパンの専門でない他の友人が迷いなくクープを入れて自分より上手にパンを焼き上げているのを見ると「自分はまだまだだな」と思いますね。 今後の目標は、まずは生地を均一に成形できるようになること、クープ(切込み)を上手に入れられるようになることです。 パン職人としてやって行くためには、とにかく毎日の様にパンを焼いて「手に覚えさせる」ことが大切だと思っています。 「エコール 辻 東京」の先生方をはじめ、長年、パン職人としてやって来られた方々の手はとても大きくて手のひらに厚みがあるのが特徴です。韮澤先生も、他の先生方も鉄板から素手でパンを持ち上げたり、手をかざして、だいたいの温度を確かめたりすることがあります。いわば「身体が覚えている」という域に達しているのかもしれません。自分も早くそこまで到達したいです。
~一人前のパン職人になって故郷に錦を飾りたい~
今度、就職するパン屋さんで職人としての修業を積んだら、「クープ・デユ・モンド」などの世界的な大会に出場できるようになって、腕試しをしたいと思っています。 最終的には、将来、故郷に自分のお店を持つのが夢です。故郷の塙町はとても小さな町で、若い人たちの人口がとても少なく、小さな頃から祖父母や両親などが旅館の経営で苦労をするのを見てきました。だからこそ、自分の作りたいものを提供して、お客様に喜んでもらいたいと思っています。 今までお世話になってきた故郷の人たちにも「恩返し」をしたいです。
~取材を終えて~
3人兄弟の真ん中として育ってきた菊地さんは「兄弟の中で自分が母と一番仲がいい」と本人も言うように、話の中で「お母さんとの思い出」がよく出て来た。来春、上のお兄さんが大学を卒業して実家の家業を継ぐことになっているので、自分はしっかりとパン職人としての修業を積んでいきたいという。 休みの日にはパン作りの練習だけでなく、同じパン職人を目指す友人と色々なパン屋さんを廻ってパンの食べ比べをするなど、その飽くなき探求心には並々ならぬものを感じた。
ATELIER TSUJI TOKYO(アトリエ 辻 東京) 写真辻製菓技術マネジメントカレッジでは、第2学年に行われる「アトリエ 辻 東京」の店舗研修で、一般のお客様にも生菓子や、焼き菓子などの製菓を販売しています。 販売の日程についてはこちらをクリックしてご確認ください。
【おまけ】エコール 辻 東京で見つけた「かくれ三角屋根」 PA8この日アトリエ 辻 東京で販売するために作られたザッハトルテを真上から撮りました。 ウィーン銘菓のチョコレートケーキです。一番の特徴は、薫り高く何とも言えない食感のザッハーグラズール。一度溶けた砂糖を再び結晶化させて固めています。 かくれ三角屋根のコーナーでは、ディズニーランドのあちこちに「かくれミッキー」がいるように、街中に、かつて国立駅の象徴として親しまれた三角屋根の駅舎にちなんだ「さんかく」をかくれ三角屋根として探しています。