●曰く、「電気代がもったいない」
●曰く、「木がかわいそう」。飾り付け前に行う剪定も電灯・コードなどの重量も発生する熱も、木の負担になるはずだと。「その辺のクレームは想定済みで、事前に井の頭公園に問い合わせ、「問題なし」とのお墨付きをもらってあったんですよ。翌春の芽吹きの様子を見ていると、イルミネーションをした木の方が元気だったりするんだけどなぁ」(モロハシ洋服店/諸橋喬一さん)。剪定については、年によっては黄葉前になってしまうこともあり、「まだ葉が緑なのに」とのクレームは、今でもあるそうです。
●曰く、「宗教行事を持ち込むなんて」
●曰く、「クリスマスが終わったのに、まだ点けているのか」。後者2点については、てっぺんの星をつけない、クリスマスを過ぎたら星には点灯しないという対応をしたこともありました。スタートしたころはもともと星なしだったのですが、今では8本の銀杏すべてに、期間終了まで星に明かりがついています。
当初は4本だった飾り付けも、年を追って6本、8本と増えていきました。新規に始めるには1本につき約100万円を要します。通りの両側にシンメトリーに配するため、増やすとなれば2本分の増額が必要になるのですから、それなりの決断と努力をされてきたことがうかがえます。行政からの補助があるとはいえ、スポンサーをつけず、大半は大学通り商店会の会費と人手によって運営されているのですから、同商店会最大のイベントと位置づけられていることにも納得です。
そして、ご存知でしたか?イルミネーションをつける木は、毎年変わっています。「木への負担もさることながら、商店会の催しですからね、自分のお店の前の木が華やかになり、集客にも影響するわけですから、公平になるように、お互いに配慮しています」(金文堂/秋田宏さん)
毎年同じに見えるデザインも、当初はなかった星をつけたり、裾にぐるりと一周造花をつけたり、街路灯にもリースをつけたり、緑地帯にトナカイやソリのイルミオブジェを配したり・・・と進化しています。そのトナカイのオブジェ、「子供を乗せて写真撮影をした人がいたんでしょうね、朝気がついたらトナカイさんがひしゃげていたなんてこともありました。気持ちはわかりますけどね(笑)」(同)
白熱球だった電灯は、ここ数年で徐々にLEDに移行。2009年からはすべてがLED青色になりました。白熱球のあたたかみのある色をなつかしむ声もあるとのことですが、電球の耐用性や経費が課題となってむずかしそうです。
LED化により、電気代は激減、また発熱もずいぶん抑えられるようになりました。白熱球時代には、巻き付けていた余りの電気コードが熱をもって燃えてしまい、消防署に始末書を提出なんていう失敗談もありました。
よかったこと、残念だったこと・・・数多のエピソードを紡ぎながら、21年間続いてきました。この間に会員の代替わりも進みました。「始めたころの会長さんたちは、若手だった私たちに、責任はとってあげるから思う存分にやってみなさいと言って、好きなようにやらせてくれました。今の若い人たちも新しいアイディアをたくさん持っています。私たちも同じように見守りながら協力していきたいですね」(諸橋さん、秋田さん)
さぁ、2010年度も間もなく点灯です。この先にはどんなストーリーが待っているのでしょうか。
同商店会では12月23日に、イルミネーションとあわせてクリスマスイベントも開催しています。
スターバックス前や緑地帯の切れ目などの空間を利用して催しが盛りだくさん。
当初は現スターバックスの場所が駐車場で、人工降雪機を使って雪を降らせたり、有名人を招いてのトークショーやオークションなどが行われました。巨大迷路やジャンボ滑り台などは、「子供たちに大変人気があったのですが、何事も起こらず無事故で終えられるようにと、内心ドキドキしながら、子供たちが喜ぶ姿を見守っていたものです」(秋田さん)
「サンタと一緒に写真を撮ろう」「クリスマスミニコンサート」「自転車人力発電コンテスト」などなど。毎年、新しい企画も披露されて、今日にいたっています。
11月7日、中央線の高架工事が終わりました。下り線ホームはもうずいぶん前から使われていますが、南口に向かって大きく窓をとっているスペースからは、いかにも国立らしい風景、もしかしたら、いちばん美しい光景が一望できそうです。ここから見るイルミネーションはさぞかし美しいことだろうと期待がふくらみます。
国立に新しく誕生したビューポイント。この冬、電車を降りて、美しいイルミネーションを目にした市民が「帰ってきたなぁ」とあたたかいものを感じて、その顔に笑みが浮かんだら素敵です。
[協力] 国立駅前大学通り商店会
[文責] 小山信子
[写真] くにたち一芸塾写真クラブ 大学通りのイルミネーション・ 23日(祝)はクリスマスイベント!くにニャンもサンタさんも登場
今では国立の冬の風物詩としてすっかりおなじみですが、最初は手探り状態で始まりました。
今日のにぎわいからすると「そうだったかしら?」と思うのだけれど、つい20年ほど前の駅前は夜になると真っ暗で、そこに木枯らしでも吹こうものなら、殺風景で寒々しい限りでした。
そこで国立駅前大学通り商店会の面々が「イルミネーションがあったら、明るくきれいな街を演出できるのではないか」と、検討を始めたと言います。
桜の木をつなぐように電灯を横長に這わせようか。銀杏をクリスマスツリーに見立てて縦長に飾りつけようか。デザインに合わせるには電球をどう並べていけばいいのか・・・
当時は全国的にみてもイルミネーションのはしりのころで、参考例もあまりなく、専門家もいないままに話し合いを重ねていきました。やがて日進電設さんや高橋電設さんの助言や協力を得て、計画が具体化していきます。
そしてついに1990年12月、商店会総力をあげての一大イベント、大学通りの東西両サイド計4本の銀杏に明かりが灯ります。
銀杏をクリスマスツリーに見立てることに決まって当初の3~4年は、商店会のみなさん自らがクレーンに上って設営をしていました。今だから笑って話せるけれど、約17mの銀杏への取り付けでは、ずいぶんとこわい思いをされたようです。素人さんがあの高さでクレーンに乗っての作業は、想像するだけで足がすくんでしまいそうです。そんな思いまでして付けた電球が風に揺れ、ぶつかり合って割れてしまうこともしばしば。そんな初期の苦労話も今となっては楽しい思い出でしょうか。
そして、人々の反応はといえば。賛否両論かまびすしく、その声に即した対応をしたこともありました。主な反対意見とは・・・