ムサシ楽器
国立駅の南口から旭通りを歩いて5分ほど。地元のピアノ屋さんとして、長く市民から親しまれているのが「ムサシ楽器」です。
新品・中古ピアノの販売をはじめ、買い取りやレンタル、調律、ピアノ教室の実施など、ピアノに関することなら幅広く相談できる頼もしいお店です。
広々とした店内には、日本を代表するブランド「KAWAI」のピアノを中心に、ドイツの名門ブランド「シンメルピアノ」や、中古で集まってくるさまざまなメーカーのピアノがずらりと並んでいます。これほど幅広いメーカーのピアノを取り扱っているお店は貴重なため、ピアノ上級者たちがわざわざ遠方から足を運び、試し弾きを楽しんでいくそうです。
店長の荻尾剛さん(写真左)は「ムサシ楽器の始まりは1935年に遡ります。私の祖父が、まだ一般家庭にはピアノが広まっていなかった時代に、全国でも数人しかいなかったピアノ調律師として商売を始めました。祖父の没後、ピアノが好きだった父も祖父と同じく調律師としての道を歩み、昭和40年代に府中市の武蔵台でムサシ楽器の店舗を構えました。その約10年後に国立市へ店を移し、現在は私を含む三兄弟で役割分担しながら店を運営しています」と話します。
剛さんの母であり代表の香子さん(写真中央)は「戦後から一般家庭にもピアノが普及し、府中に店を構えた頃にはちょうどピアノのブームが訪れました。昔で言う、三味線やお琴のように“女の子のたしなみ”としてピアノは大人気だったんです。だから店はいつも大忙しでしたよ」と微笑みながら当時を振り返ります。
時代とともにピアノが習い事として定番になるにつれ、現在では大規模なピアノ店が当たり前になりました。そんななか、町の八百屋さんや魚屋さんのように“昔ながらの商店スタイル”を守り続けているのは、ピアノ業界でも珍しいことなのだとか。
文教地区である国立では、子どもへの教育意識の高い人が多く、ピアノを子どもに習わせたりプレゼントしたりする人が特に多いのだそう。
「親御さんがお子さんを想ってピアノを選んでいる姿を見ていると、とても美しい風景だなと感じます。私たちのやりがいになりますし、本当にいい仕事をしているなと、いつもうれしくなります」と剛さんは笑顔で話します。
老舗の「ムサシ楽器」ですが、2013年から新たに取り組んでいる活動があります。それが、ドイツのピアノブランド「シンメルピアノ」の国内での普及です。ピアノ文化の本場であるヨーロッパでは名門ですが、日本ではまだまだ知られていないブランド。縁があって「ムサシ楽器」は「シンメルピアノ」の日本総代理店になっています。
剛さんは「実際に触ってみて、シンメルピアノの楽器は非常にすばらしいと感じています。全国に広めていきたい気持ちはもちろんのこと、国立市の独自ブランドのひとつとしてシンメルのピアノの存在感を上げていきたいと、地道に取り組んでいるところです。その一歩として、駅前に復活した旧国立駅舎にシンメルのピアノを置いています。まだまだ道半ばですが、国立といえばシンメルピアノと言われるくらい、大きな目標を持って活動しています」と語ります。
「ピアノは大切に使えば、100年でも使える楽器です。ピアノ店は物を売るという商売ですが、お客様とのお付き合いが始まれば、老舗の旅館さんなどと同じ感覚でお子さんやお孫さんの代までものすごく長いスパンでお付き合いさせていただくことになります。それが難しいところでもあり、やりがいでもあります。一人ひとりのお客様を大切に、丁寧にお付き合いさせていただくことで、さらにこの先何代も続く店にしていけたら思います」と剛さん。
時代とともに歩み続ける「ムサシ楽器」。これからも“頼れるまちのピアノ屋さん”として、国立で豊かな音楽文化を広めていきます。
- 店舗所在地
- 国立市東1-17-4 1F
- 営業時間
- 10:00~19:00
- 休業日
- 無休(年末年始を除く)
- TEL
- 0120-634-860
- ウェブサイト
- https://musashi-gakki.co.jp/