国立市古民家(旧柳澤家住宅・国立市指定有形民俗文化財)

昔の農村文化と暮らしを伝える

甲州街道沿いの青柳村(現国立市青柳)に建てられていた農家を移築・復元した国立市古民家は、江戸時代後期の建築と推定される典型的な茅葺き、入母屋造りの家屋です。

南武線矢川駅から歩いておよそ15分、城山公園南側にあります。

1985年10月に青柳在住の柳澤勇一郎さんから国立市が寄贈を受け、解体調査後1991年3月に現在地に復元したもの。同年10月、市指定有形民俗文化財指定を受けて、一般公開が始まりました。

復元にあたっては、当時の様子をできる限り忠実に再現。庭にはさまざまな樹木を植え、周囲には茶の木や柊などの生垣もめぐらせました。

家屋の南側には、独特の姿に整えられた白樫(シラカシ)の高垣(かしぐね)を設けてあります。防風林の役割をしているのですね。自然を巧みに活かしながら家と暮らしを守る昔の人の知恵が偲ばれます。

さあ、中に入ってみましょう。

真正面にかまどが見えます。食事のしたくをする活気が伝わってくるようです。右横には厩があります。大切な農耕馬は家の中で一緒に住んでいたのですね。

土間には、明治から昭和初期にかけて農作業や養蚕に使われていた道具類がたくさん並んでいます。何のためにどんなふうに使われていたのか想像するのも楽しそう。

ふと気が付くと、古民家独特の懐かしい匂いがします。それは、煙に含まれる木タールが梁や茅葺屋根建材の防虫性や防水性を高めるという理由で、今なお毎朝、囲炉裏に薪をくべているから。黒光りするケヤキの柱が美しいです。

午前中に行けば、囲炉裏の火にあたることができそうです。

囲炉裏のあるアガリハナ(床部分)に続いて、座敷、奥の間へと続きます。

ここでは折々に、お正月の繭玉づくり、節分の豆まき、ひな人形飾り・菱餅づくり、五月人形・こいのぼり飾り、七夕飾り、十五夜団子づくりなど、伝統行事や季節の飾り物の中でも、とくに生活に密着した祈りが込められたものづくりのイベントが開催されています。

市のHPや広報紙「オアシス」に案内が出るので、参加してみるのも一興。

外に出たら、釣瓶井戸がありました(安全のため、水はありません)。

写真奥に見えるのは隣接する、国立の農ある暮らしの楽しさや豊かさを創造・発信する施設「城山さとのいえ」。

そうなんです、ここは目前に農地が広がり、背景には段丘(はけ)の道、城山公園がある自然豊かな環境もご自慢のひとつ。くにたち郷土文化館、南養寺も近くにあって、絶好のお散歩コース。

歴史と自然があふれる南部地域は、甲州街道北側の「街」とは異なる、国立のもうひとつの顔。ぜひとも堪能してくださいね。

基本情報

店舗所在地
国立市泉5丁目21-20
営業時間
9時~17時
休業日
毎月第2・4木曜日(祝日の場合開館。翌日休館)及び12月29日~1月3日
TEL
042-576-0211(くにたち郷土文化館)
ウェブサイト
https://kuzaidan.or.jp/province/%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E5%B8%82%E5%8F%A4%E6%B0%91%E5%AE%B6/