壺中天地 ル・クリマ

魚がおいしいフレンチレストランとして定評あるル・クリマ。

ランチタイムオープン間際にトロ箱を手に戻ってきたのは、矢吹樹生(やぶきしげき)シェフ。ランチといえば、多くの飲食店が11時30分から開けているのに、ル・クリマではもともとの設定が12時。
それは、「小田原早川港で水揚げされた朝どれ魚介や、各地の旬の魚を独自のルートで仕入れています。お客さまに、鮮度の高い安心安全なものを“この魚がこの値段で食べられるの?”といううれしい驚きをもって召し上がっていただきたい」一心から。
魚以外の素材=京の伝統野菜、地場野菜、天然きのこや山菜、ジビエなども確かな筋から入荷され、これらの厳選素材が和風テイストも織り交ぜながら、季節感、色彩感豊かな料理となっていきます。
料理とともに供されるバゲットのおいしさも特筆ものなのですが、「ランチ用もその日の朝に焼いたものをお出しするために、仕入れの最後にパン屋さんから受けとってきます」と、脇役たちにも手間暇を惜しまない矢吹さんです。

細長い店内には、カウンター6席、テーブルに4席が配されています。
カウンター席に座れば、料理が仕上がっていくプロセスが目の前で展開されます。その手際、仕事の美しさに感嘆しているうちに、お皿がやってきます。また、奥のテーブル席は独立感があり、家族や友人とのおしゃべりに最適。その日の気分や目的に合わせて使い分けるのもいいかもしれません。

「割烹スタイルといいますか、ここまで丸見えのオープンキッチンはフレンチでは珍しいかもしれませんね。まあ、見られて困るものでもなく、困るようなことはしていませんから(笑)。できたてを間髪おかずに提供できますし、お客さまからのダイレクトな反応が伝わってくるのが楽しく、励みにも勉強にもなりますね」

矢吹さんが日本フランス料理壺中天地ル・クリマを市内冨士見通りに開業したのは、1998年のこと。壺中天地は中国語で「世俗を忘れる仙境」の意味だそうで、お客さまにとってこのレストランがそんな空間でありたいとの願いから。ル・クリマはフランス語で「気候・風土・環境」。日本の風土に根ざし、根付くフランス料理を目指しての命名。2011年に現在地に移転してからも、そのポリシーは変わっていません。
日々心がけているのは、手ごろな値段できちんとしたものを提供すること。矢吹さんの口からは「きちんとした」という言葉が何度となく出てきます。きちんとした安心安全素材を用いて、素材を活かす調理をきちんとすること。熟成が必要な素材については、それぞれに適った手を施すのは言わずもがな。

「お手ごろな価格設定とはいっても、“普段の食事”の感覚からしたら、高いですよね。サービスランチで1,600円、Aコースが2,500円、Bコースは3,600円。ディナーSコース3,600円、Aコース6,000円、Bコース10,000円ですから、決して安いとは言えないと思うんですよ」(いずれも税別)。
たしかに、日常的なランチにかける予算といえば、1,000円前後といったところですものね。
だからこそ、「満足、納得していただけるきちんとしたものを提供するんです」と語ります。
食事中に店内の様子を見ていると、リピーターの方もいらっしゃるようです。満足度が高いからこそですね。

写真はランチのMENU.A(2,500円 税別)。とある日の献立は、

前菜:横浜小柴産太刀魚の刺身サラダ仕立て

主菜:小田原産ホウボウのポワレ、北海道産帆立、天草産車海老焦がしバターソース ラタトゥイユ添え

デザート:クルミのタルト、チョコレートムース、フリジエール、バニラアイス、宮崎産きんかん

コーヒー

料理には、ワインはもちろん、ベルギービールも十数種類用意されているので、こちらもぜひともお試しあれ。ベルギーは緯度が高いがゆえにワインに向く良質な葡萄が採れないことから、食中の飲み物としてワインのかわりにビールが発達したのだとか。味、香り、色からアルコール度数にいたるまで多種多様。
このお皿に合うベルギービールはどれでしょう。迷ったらぜひ矢吹さんにご相談を。もしかしたら、「日本酒をどうぞ」の変化球が飛んでくるかもしれないけれど。

矢吹さんが料理に興味を抱いたのは高校生時代の喫茶店でのアルバイトから。そのままその道にまっしぐらかと思いきや、他業種に就職。社会人経験後に大学に入学。ここでも選んだのは法学部。それでも料理人になる夢は変わらず。「何もかも途中で放り出すことになってしまうから中退はできないな、と。その間、料理は本で独学していました」。
卒業後、レストランでキャリアを積み、8年後には独立します。店舗物件を探していた1年間は、魚屋さんで働きます。

「ここでの1年で魚の目利きの勉強ができ、流通事情もわかってきました。それが大きな糧になりました」

定休日の水曜日は料理学校で講師をつとめています。

「教えることは学ぶこと、今なお修業中」と語る矢吹さんのひと皿。おすすめです。

基本情報

店舗所在地
国立市東4-1-48鈴木ビル1F
営業時間
12:00~14:00(L.O.) 18:00~21:00(L.O.)
休業日
水曜
TEL
042-580-0611
ウェブサイト
http://www.climat.jp

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