レ・アントルメ国立

JR国立駅から南に向かってまっすぐに伸びる大学通り。桜や銀杏の並木や樹下に咲く花々に、市外から訪れるお客さまからも「まるで公園を歩いているみたい」と言われる素晴らしい景観ですね。その道をまっすぐ歩くこと10分ちょっと。お店が建ち並ぶ駅前から一橋大学を過ぎると閑静な住宅地へ。通りの左手にある風情ある和風の建物が、市内で一二を争う人気洋菓子店のレ・アントルメです。

魵沢令子さん「緑豊かなこの環境は個人で作ったり守ったりできるものではありません。ありがたいですね」

開業は1993年10月9日。現在地より、もう少し南に下ったビルの地階でした。魵沢信次(えびさわしんじ)シェフは「独立してお店を持つなら国立で」と最初から決めていました。業界筋からは「老舗あり人気店ありと、もうすでに洋菓子店がたくさんあるのになぜ国立?」と、いぶかしがる声もあったのだとか。

「国立は都心の有名店の味、本物の味をご存知の方がお住まいだから、駅からややあるという不利な立地だとしても、おいしいものを提供すればやっていける、と魵沢は確信していましたね」と、お客さまからもスタッフからも“マダム”と親しまれている魵沢令子さんは語ります。

オープン直後からその評判は徐々に広がり、地域の人々に受け入れられていきました。階段を降りていく途中、ガラス越しに見えるキッチンが、“おいしい”を生み出す魔法の空間に見えたことを覚えている方もいらっしゃるはず。

縁あって、小樽ガラスを扱っていた店舗を譲り受け、洋菓子店としてのリフォームをほどこして、現在地に移転したのは2000年のこと。

街並みと建物、フランス菓子の美しい取り合わせは、映画やテレビドラマやテレビ取材にもしばしば登場することで、よく知られていますね。

まずはクロワッサン、パン・オ・ショコラ、ショソン・オ・ポンムなどなど、フランスの味を伝えるパンたちがお出迎え

レ・アントルメが目指すのは「奇をてらうことなく、華美に走らず、シンプルにおいしさに力点をおいたフランス正統派のお菓子」。

お店に入ると、甘やかな香りはもちろん、種類も豊富にずらりと並ぶ、シンプルながらも美しいお菓子たちに迎えられます。

日本で最初にフランス菓子を広めたアンドレ・ルコントさんと魵沢シェフ。魵沢シェフは18歳でルコントに入社。基礎から学び、後に日仏両国で修業を重ねます

定番のホールケーキ。シンプルながら華やかさを演出してくれます

「小規模店ながら、品揃えは豊かだと自負しています。魵沢の頭の中には2000とも3000とも言われるほどのレシピがありました。その中から季節に応じて、ご要望に応じて、素材を活かしてと、商品として次々と生みだしてきました。どなたにも召し上がっていただけるように、生菓子もつねに22、3種類お作りしています。記念のケーキなどは、できる限りご要望にお応えしたいと思っています」(令子さん)

季節により顔ぶれが変わるのも楽しみな生菓子

焼き菓子、クッキーはご自宅用にもギフトにも

 

おいしいお菓子は、人々にしあわせを運んでくれるもの。そしてフランスでは伝統行事ごとに、特徴あるお菓子がつきもの。そんなフランスの文化や伝統までもお菓子にのせて伝えてくれます。

阿部雅子シェフ。「華美に走るのではなく、シンプルだけど美しく、そして多くの方においしいと言っていただけるものを作り続けたいですね」

2019年4月に、マダムをはじめ全スタッフからの信頼を得てアトリエシェフに就任したのが阿部雅子さん。

パティシエを目指したのは、福祉関係の大学を卒業してから。折も折、料理の鉄人ブームまっただ中の時代で製菓学校はいずこも定員オーバー。「待っていても仕方ないからお店に飛びこんで修業させてもらおう」。そう決心したのは24歳のとき。今は閉店してしまったシャンドン(港区青山)の清水純シェフに「拾っていただき(笑)、基礎からみっちり教えていただきました」

3年ほど勤めたころ、人づてにアントルメの評判を耳にします。

「近くに住んでいたので、すぐに食べに来て、あまりのおいしさに衝撃を受けました。ここで働きたいと強く思い、シェフにお願いしました」「シェフは厳しかったですが、足掛け10年お世話になっている間に、フランス菓子の素晴らしさを教えていただきました。38歳でフランス留学を決めたときも、現地在住の知り合いを通して働くお店や下宿先を紹介してくださって。帰国後もお世話になっていました」と、当時を振り返ります。

色鮮やかなマカロンは12種類。おしゃれなパッケージともども評判です

「阿部はうちの卒業生の中でも志の高い作り手で、本場フランスとレ・アントルメの製法を礎に彼女らしい感性も充分発揮しています。ショコラティエもパリのパトリック・ロジェで二番手を務めていた者が担ってくれています」と、安堵の表情を浮かべる令子さん。

生ショコラも通年置かれています。口溶けのよさと香りをぜひ

コンフィチュールや紅茶も充実。令子さんが日本紅茶協会のインストラクター有資格者だからケーキに合う良質な品を揃えています。季節感を楽しむなら桜やぶどう、クリスマスティーなどのフレーバーティーもおすすめ

家族イベントに華を添え、大切な方へのギフトとして、また自身へのごほうびや、さくっと食べたい昼食に・・・と、レ・アントルメの多彩なお菓子やパンは、どんなシーンにもお似合いですね。

開業27年目に入って、国立に欠かせないメゾンとしての揺るぎない存在感は不変。魵沢信次シェフの地域の人々に愛され続けるお店、地域一番店でありたいという願いは、スタッフのたゆまぬ努力と向上心に支えられて、力強く確実に受け継がれています。

基本情報

店舗所在地
国立市東2-25-50
営業時間
10:00~19:00
休業日
水曜定休
年末年始営業
TEL
042-574-0205
ウェブサイト
http://les-entremets.com/