くらしの陶器 やま芳
目的もなく、フラフラ~っとお店に入ったら目が合った…よいモノとの出合いは案外こういうときに起こったりしませんか?昭和ムード漂う、約半世紀も続くやま芳は、そんな予感がするお店です。
上から下までびっしりと並べられた器たち。まずその量に圧倒されます。けれどよーく見てみると、モダンな柄の九谷焼や波佐見焼といった最近人気の器があったり、冬に向けて大小さまざまな土鍋があったり。そっけない昔ながらのディスプレイの中に、きらりと光るこだわりが伝わってきます。
「今や器も大量生産の時代。もちろんそういう安くて扱いやすい器も扱っていますが、それとは別に手触りや口当たりのいい、温かみのある器も全国各地から取り寄せています」と話すのは店主の石川さん。では石川さんおすすめの品を3つ紹介しましょう。
ぬくも焼(山梨県)の急須と湯飲み。釉薬をせず焼き締めた器で、持つととても軽いのに驚かされる。表面は丁寧にやすり掛けされており、触り心地もよい。
九谷焼(石川県)のお茶碗と山中塗り(石川県)のお椀。九谷焼の青はどんな食卓にもなじむ色合い。お椀は手の中にすっぽり納まる丸みと口当たりのよさが特長。
高取焼(福岡県)の徳利とぐい呑み。昔ながらの製法で丁寧に作られた堂々とした佇まい。
器のプロフィールやお手入れ法など細かく教えてくれるのも老舗ならではですが、これだけではありません!最後の最後、購入時に今では珍しい心温まるサービスをしてくれます。まず1つ目は器の底にある丸い輪の高台『糸尻』をサンドペーパーで磨く作業。これは糸尻のザラつきでテーブルを傷つけないようにするための心配りです。次に小さな陶器を使って、チーンと音を鳴らします。器の欠けは目で確認できますが、ヒビは目に見えないためその音色でヒビが入っていないかどうか確かめているそうです。時を経ても変わらない丁寧な仕事ぶりを拝見しながら、気持ちの良い買い物ってこういうことなんだろうなあ…としみじみ。この先も昔ながらの心意気でお客を和ませてほしい、数少ない老舗の1軒です。
- 店舗所在地
- 国立市東2-8-9
- 営業時間
- 10:00~18:50
- 休業日
- 毎週水曜日(年末を除く)、元旦
- TEL
- 042-573-1587
- ウェブサイト
- http://yamayoshi.main.jp/