「チームで力を合わせてきたことが、成果に結びつきました」

「チームで力を合わせてきたことが、成果に結びつきました」

~「全国大会」準優勝を勝ちとって~
今年の8月8日に大手町サンケイプラザで開かれた「文部科学大臣杯第10回小・中学校将棋団体戦」(産経新聞社・日本将棋連盟主催)の決勝大会で、東京都代表の国立学園小学校が準優勝しました。試合は3対3の「団体戦」で行われて、最後の決勝戦では対戦相手の大分大付属小学校(大分県)におしいところで敗れました。今回、同校の代表となった3人の生徒と顧問の先生にその思いを語ってもらいました。  
P1060086国立学園小学校大貫敬弘君(小6)増田遥仁君(小6)大貫 悟君(小4)顧問:新屋雅彦先生

~将棋を始めたきっかけは?
大貫(敬): 国立学園付属かたばみ幼稚園の年中の時に、当時「国立学園小学校」に通っていた3つ上の姉が将棋を始めたのをきっかけに、祖母に習って始めました。 最初の頃は近所の人たちに手合いを組んでもらっていましたが、その内に市内にあった「将棋教室」に通うようになり、その後しばらくして、その教室が無くなってしまったので、八王子の道場に通うようになりました。
大貫(悟): 3歳の時に、兄(敬弘さん)に憧れて始めました。
増田   : かたばみ幼稚園年中の時に、小学校の兄と一緒に祖母に習って、将棋を始めました。
~練習はどこでしていますか?
大貫(悟): 週末になると弟と一緒に八王子の道場に通っています。早い時には朝の9時近くから道場に行って、午後の3時半くらいまで将棋を指しています。
大貫(敬): 僕も前は土・日とも八王子の道場に通っていたのですが、高学年になった今は運動クラブの練習もあるので、土・日のどちらか一日、道場に通っていましたが、今は 将棋の指南書などを読んで、将棋の必勝法を学んでいます。
増田   : 僕はスポーツ全般が好きなのでそちらの活動が中心で、たまに道場へ行くくらいです。
~「全国大会」では~
大貫(敬): 強く「勝ちたい!」と思っていると、逆に“空回り”をしてしまうので、試合では平常心を保つように心掛けました。
増田   : 最初は緊張していましたが、試合が進むにつれて少しずつ慣れて行きました。最後には「いつも通りに指せばいいのだ!」と自分に言い聞かせました。
大貫(悟): たとえ試合で負けても悔いのない将棋を指したいと思っていました。それでも「全国大会」はさすがに緊張をしました。
大貫悟君
大貫悟君
大貫敏弘君
大貫敏弘君
増田遥仁君
増田遥仁君
  ~将棋の醍醐味とは?
大貫(敬): 言葉では上手く言えないのですが、頭を使った駆け引きが面白いです。相手の先の動きを読んで「どのようにすれば勝てるのか?」という感覚を身に付けるようにしています。試合に勝つためには“計算”が必要なんです。
増田   : 「こうなったら、次はこうなる」と想像するのが楽しいです。「算数」の勉強とおんなじです。
大貫(悟): 増田君と同じく、将棋は頭を使うので勉強に役立ちます。
  ~お気に入りの駒は? 大貫(悟):僕も「飛車」が好きです。理由は将棋を指す中で大きく動けるからです。
大貫(敬): “攻めの要”と言われている「飛車」(ひしゃ)が好きです。「飛車」の動きが大きいので、将棋の盤全体を大きく、広く見られます。
増田   : 僕は「金」です。「金」は“攻め”にも“守り”にも利用できて、使いみちが多いからです。
  ~将棋をやってきて“うれしかったこと”と“辛かったこと”は?
大貫(悟): 嬉しかったことは今まで将棋をやって来て、成果が出て「全国大会」で準優勝できたことです。辛かったことは特にないです。
増田   : うれしかったことは、勝負に強い人と対戦する際に、「駒落ち」というハンデを使って相手に勝てるようになって来たことです。「自分は強くなってきた!」 と実感できるときがうれしいです。辛かったことは特にないです。
大貫(敬): 僕はうれしかったことよりも、辛かったことの方が多いです。小4くらいまでは純粋に将棋を楽しんでいたのですが、試合に勝てないことが増えてくると「上には上がいる」とわかってきて辛くなりました。 思い入れの強い試合であればあるほど、負けた時のショックが大きいです。うれしかったことは努力を積み重ねて大会などで成果を出せたことです。今回の「全国大会」では惜しい所で優勝を逃しましたが、色々と勉強ができて良かったです。
~ありがとうございました。これからもがんばって下さい。 gakuen 顧問の先生にお聞きしました。「囲碁・将棋クラブ」について教えて下さい。 DSCF4778
3人が所属している「国立学園小」の「囲碁・将棋クラブ」が発足したのは約30年前のことで、私が顧問になってからは20年くらい経ちます。以前は“将棋”よりも“囲碁”の方が主流で、卒業生の中には高校生になって「全国大会」の覇者になった者もいますし、中学生で「全国大会」で準優勝した者もいます。私自身のことを言えば、将棋はかなり小さな頃からやっていましたが、囲碁をやるようになったのは大学時代の友人の影響です。囲碁も将棋も自分の陣地を守りつつ相手の陣地を攻めていくやり方は一緒ですが、将棋の場合はそれまでどんなに優勢でも最後の一手で「王将」を摘まれてしまうと「勝負あり」なので、最後の最後まで勝敗が分からなかったしりします。
~「全国大会」の団体戦とは~
「国立学園小学校」の「囲碁・将棋クラブ」の生徒が「全国大会」に出場したのは初めての快挙です。3人とも本当によくがんばりました。2年前には同じメンバーで「東日本大会」までは勝ち進んだのですが、そこで敗退しました。主将の大貫(敬弘)君は常に頭の中で相手の先を読んで、イメージすることが得意です。一方、同じ小6の増田君は非常に想像力の豊かなタイプで、「次はこうしたら勝てるかな?」と見通しが立てられます。囲碁の試合は1:1の個人戦ですが、将棋は3:3の団体戦なので、自分の勝敗のことだけでなく、他の友達の勝敗のことも考えなければなりません。同じくらいの実力のメンバーを3人集めて、お互いに“切磋琢磨”していかなければならないのです。
~地域の仲間たちの支えがあって
4年間このチームでやって来ましたが、今回「全国大会」まで出場することができて非常にうれしいです。3人の中で誰が勝っても負けても関係なく、お互いに勝敗を消化してきてくれたということが素晴らしいです。また同じ「将棋教室」や「将棋道場」で学んで来た仲間たちが、学校を超えて応援し続けてくれたことにも感動しました。お隣の立川市立第一小学校の「将棋クラブ」の生徒さんたちも、今回の「全国大会で4位に入賞を果たしています。今年6年生の大西(敬)君と増田君が来春、卒業してしまったら、弟の大西悟君が2人に変わる素晴らしい仲間を見付けて、さらなる“強豪チーム”を結成してほしいですね。