ザ・サトウ明窓浄机館(めいそうじょうきかん)

ほかでは見られない国立の歴史をゆったりと鑑賞

国立駅南口から富士見通りに入り、西に進むこと徒歩約10分、右手に明窓浄机館はあります。

所有・運営している株式会社サトウの緑色の看板が目印。

あまりなじみのない明窓浄机という言葉…何と読むの?どんな意味?

読みは「めいそうじょうき」。

意味は、「明るく清潔で、落ち着いて勉強できる書斎の形容。読書や執筆に適している場所。明るい窓と塵(ちり)一つない清潔な机の意から(欧陽脩『試筆』より)」。

「勉強してこなかった僕に、『もっと勉学に励みなさい』と、関頑亭先生が名付けてくださったんですよ」と、同社会長、そして同館館長を務める佐藤収一さん。

館名の揮毫も関頑亭さんによるものです。

佐藤さんのお父さま、佐藤正男さんがこの地に自宅兼店舗を設けて、建築資材販売業を始めたのは1950年のこと。事業は順調に進展、60周年を迎えた2010年には、生産工場、配送拠点を集約して、本店機能の一部を市内配送センター内に移転しました。

そうしてできた事務所の空きスペースをどう活用するかと検討した結果が、この明窓浄机館でした。

「国立、そしてこの富士見通りが大好きだった父の想いを遺したかったし、父の代からお世話になっている地域の活性化の役に立てればという気持ちもあって、2012年に開設しました」

以来、国立の歴史や文化、ゆかりある作家、芸術家、写真家などの作品を集めた企画展が催されています。

取材当日は、「国立駅舎誕生の頃展」が開催中でした。大正4年から昭和初期にかけて、市内の中、東、西地域が開発された当時の記録写真が並びます。国立の開発に携わった箱根土地株式会社(現・株式会社プリンスホテル)の堤康次郎の義弟・中島陟さんが、当時珍しかった外国製のカメラをもって現場を撮影したもの。ネガはご子息の中島渉さんが長年保管されていました。2010年に亡くなったあと、ご遺族から佐藤さんに寄贈されたものです。

写真とともに、関頑亭さん、今城國忠さん、山口瞳さんなどなど、国立ゆかりの名だたる芸術家の作品も、さりげなく展示されています。

これだけでもすごいと感激していたら、「作品はまだまだたくさんあってね…所有しているものを、テーマを設定して展示するのが基本。年に何回か入れ替えています」

展示作業には、いつも学芸員・渡辺彰子さん、イラストレーター・豊島義夫さん、資料管理・木村哲也さん、設営・田中工務店さん(谷保)らが応援してくださるそうで、「みなさんの力をお借りして開催しているんですよ」と佐藤さんは言います。

それもこれも、地域のために貢献を惜しまない佐藤さんだからこその人脈、つながりがなせる業なのでしょう。

佐藤さんの口からは、いつも変わらぬ国立への熱い思いに満ちた言葉がほとばしります。同館の展示企画からも明らかですね。

「僕が知っている国立は、箱根土地が開発した“新しい国立”だけ。もちろん甲州街道の南側にもたくさんの仲間たちがいるけれど、あちらは歴史が長いから、まだ新参者なの」と笑います。

「このあたりは分譲地ですから、大地主とかボス的な存在がいなかった。しきたりにしばられることのないリベラルさがあって。だからこそ住民と商店が助け合って街を築いてきたというのが大きな特徴かな。アーティストたちも一緒になってね」と、長年商工会に携わっている視点もちらり。

そんな楽しいお話も、タイミングがよければ聞かせていただけるかもしれませんね。

ギャラリーとしての役割のほかに、商店会のイベントが行われ、地域の人が集まる出会いの場でもあります。企画展の合間には、近隣の国立音楽大学付属中学・高校生徒の発表会や、国立第二小学校、都立第五商業高校の児童・生徒・OBの作品が展示されることもあります。

正直に告白すると、同館と企画展のことは筆者も前を通るたびに気になっていました。なのに、なぜか敷居が高いような気がして素通りしていました。残念なことをしたものです。

入ってみたら、とても居心地のよい空間で、ほかでは見られない“国立の表情”を見ることができました。

その名の通り、清潔で静謐な空間で、間近に作品を鑑賞できるのは、かえがたい至福のひととき。

ぜひとも気軽に立ち寄ってみてください。入場は無料です。

 

基本情報

店舗所在地
国立市中2-4-3
営業時間
10時~17時
休業日
日・祝
TEL
042-576-0561
ウェブサイト
http://meisoujoukikan.net/

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