スターバックス コーヒー nonowa国立店 サイニングストア
無限の可能性を信じて。スタバ国内初の試み
2020年6月27日、スターバックス コーヒー nonowa国立店がオープンしました。
JR中央線国立駅の改札口を出て真正面にある商業施設、nonowa国立の中にあります。
「どんなお店が開くんだろう」と開店日を心待ちにしていたら、それは聴覚に障がいのあるパートナー(従業員)が聴こえるパートナーと一緒に運営する店舗、国内初のサイニングストアでした。同店は18名の聴覚に障がいのあるパートナーと5名の聴こえるパートナーで構成されているのだそうです。
運営にあたっての主なコミュニケーション手段は手話。
さあ、どんなお店なのでしょう。
国内のスターバックスには、聴覚に障がいのあるパートナーが60名以上います。以前から彼らや手話を学ぶパートナーが自主的に企画・運営する「手話カフェ」や「手話によるコーヒーセミナー」を実施してきました。その中から挙がった「自分たちでお店をやってみたい」という声をきっかけに動き始めた計画でした。
「耳が聴こえないパートナーがマジョリティになる店舗」という勇気ある提案。そして、それを受け入れ、実現に向けて全社をあげて取り組んだ結果がこの店舗。
誰であれ、持っている可能性は、たとえなんらかの障がいがあったとしても、適切な環境さえあれば実現できることを体現していますね。それが同社の根底に流れる基本姿勢なのでしょう。
店内に足を踏み入れました。
店内は白を基調とした色合い。壁面やテーブル、椅子に使われている白木も、明るくあたたかな雰囲気を作り出しています。
働くパートナー、お客さま双方にとって大切なのが“視認性”。従来の店舗に比べてカウンターが低いのも、照明が明るい設定なのもそのため。数多く配されている大小の丸テーブルは、手話で会話を楽しむお客さまが互いの動きを見やすくするための配慮なのですね。このテーブルは、車椅子の方にも使いやすいデザインです。
ひときわ目をひくのが、色鮮やかな大きな壁画「TALKATIVE HANDS(おしゃべりな手)」。
ろう者を両親に持つ聴者(コーダ)で、手話をモチーフにした作品を多く手掛ける門秀彦さんの作品です。同店の世界観と手話表現を、豊かに物語っています。
よ~く見ると、オーダーに使える手話もありますよ。ここで楽しみながら手話を覚えてしまいましょうか。
指文字で表現したSTARBUCKSサインはロゴとして店内のあちこちに。パートナーのエプロンにも描いてあります。手話の世界を象徴するアイテムですね。
バッジは「私は手話ができますよ」「私を見てくださいね」という、パートナーからお客さまへのメッセージでもあります。
さあ、注文をしに行きましょうか。
前述のとおり、カウンターは低めで、上面は白です。声に頼らないコミュニケーションには、手や口の動きと同じくらいに表情も大切ですから、よく見えるためのレフ版効果ですね。
手話がわからなくても大丈夫。指差しメニューや筆談具もありますから、好きな方法でオーダーしましょう。
紙コップかマグカップか、サイズをどうするかは、実物を見せてくれるので、指をさしたりうなずいたりOKサインを出したりすれば伝わります。
商品の出来上がりは、レシートに記された呼び出し番号がデジタルサイネージに現れて教えてくれます。
笑顔で受け取ったら、早速いただきます!
同店のコンセプトは、誰もが自分らしくいられること。その願いは、壁面に掲げられています。
お客さまに店舗での体験を通じてコミュニケーションの多様性を感じてもらうこと。ここで勤務するパートナーがいきいきと働き、ともに成長する姿を通じて、その力をスターバックス全店舗に波及させていくことを目指しているそうです。国立店との間では、すでにお互いの店舗で働く交流も始まり、いい刺激になっているとも聞きました。
スターバックスが、サイニングストアを国立に出店したのはなぜでしょうか?
それは、すべての人を社会の一員として包み支えあい共に生きる、人権を尊重し多様性を認め合うという国立市の理念がマッチしているから。早い時期から候補地のひとつとして挙がっていたのだそうです。そして、市民の皆さまの、多様性や手話への理解度が高いからだとも。
なんだかちょっと誇らしいですね。
さらに国立駅には、東京都立立川ろう学校へのバスが発着しています。
生徒たちが、お友だちとのコーヒータイムに利用したり、コンコースを通る折に、ろうの先輩たちが夢をかなえ希望に満ちた表情で働いている姿を見たら、前向きな気持ちで将来を考えられるかもしれません。そんな刺激をもらえたら、それはとても素敵なことですね。
障がいのある人もそうでない人も、互いに温かく豊かな想像力をもって、互いを思いやることができたら、誰もがもっと生きやすい社会が実現する。そんな気づきを与えてくれるお店です。
最後に、スターバックス コーヒー nonowa国立店パートナーのおすすめメニューをご紹介。
▲「チョコレートチャンクスコーン」は、プラス30円でホイップを添えるとさらにリッチな味わいに。ホットの「スターバックス ラテ」は、きめ細かなフォームミルクがなめらかな飲み心地。
ホットのスターバックス ラテを表現する手話を教えていただきました。
▲「スターバックス」→「ラテ」→「ホット(身体の前で両手のてのひらを上に向け、下から上へあおるような動作を2回)」
いかがですか?
手話によるオーダーは、はじめはちょっと照れくさいかもしれませんが、ぜひともトライしてみてくださいね。
- 店舗所在地
- 国立市北1-14-1 nonowa国立
- 営業時間
- 7時~22時(*1月27日現在、緊急事態宣言発令に伴い20時閉店。自治体から発表される方針により営業時間の変更あり)
- 休業日
- 不定休
- ウェブサイト
- https://store.starbucks.co.jp/detail-1872/