新月社|食文化研究所書店

谷保駅から徒歩4分ほど歩き、汽車ポッポ公園を抜けてすぐ北側、ダイヤ街商店街の一画。木のドアが印象的なちいさな建物に、2つの本屋さんがあります。1階が『新月社』、2階が『食文化研究所書店』です。

今回はそれぞれの本屋の店主である、新月社の笹井譚さん、食文化研究所書店の洪華奈さんにお話を伺いました。

――2025年3月に同時に開店したこの2つの本屋さん。もとは『小鳥書房』という1つの本屋さんが閉店して、あたらしく『小鳥書房アパートメント』としてひらかれた場所にお店をオープンしたそうですね。

笹井譚さん(以下、譚さん):もともと小鳥書房のお客さんでした。小鳥書房の店主の落合さんが「本屋を閉店するので、次に本屋をひらいてくれる人を探している」という話を聞き、やってみたいと思って希望しました。その際、もう1人、2階にも別の方が入居するとお話があり、洪さんと出会いました。1人では心配だったので2人だといいなと思い、お店をひらくことを決めました。

洪華奈さん(以下、洪さん):私も小鳥書房が閉店するという話を聞いていました。他の仕事があり1人では本屋を運営できないと思っていたので、面白そうだけれどどうしようかと悩んでいたところ、1階に譚さんが入るというお話を聞き、2人なら一緒にできそうだと思って入居しました。国立駅前で本屋の運営をしていた経験もあり、機会があれば本屋という場を持ちたいと思っていました。

1階の新月社は、ちいさな出版社、本屋、個人が出している書籍やZINEを中心に選書しているそう。ジャンルはエッセイや詩歌をメインに、小説や漫画なども。壁の本棚は、一区画を棚主さんに貸し出す棚貸しもやっており、本を選んだ人の想いが伝わってくる空間です。

――『新月社』『食文化研究所書店』それぞれの店名に込められた想いを教えてください。

譚さん:「新月」は新しいことをはじめるのにいい、と言われています。小鳥書房は色々な人が交流する場所だったので、新月社も人が集まって、人と人が繋がる場所、新しいコミュニケーションができる場所になってほしいなという想いを込めました。また、「今まで出会わなかった本との出会い」をこの場所で、出会ってほしい。本からしても、「あたらしい持ち主が決まる場所」が本屋なので、人とも本とも出会える場所という願いを込めて名付けました。

洪さん:これから自分の生業みたいなものを作っていきたくて、もちろん本もなんですが、食文化ーーー地域の食文化もあれば、家庭の食もあり、外食もあれば、自炊もあるーーーそういった食にまつわる文化に興味がありました。本屋をひらくのであればニッチな本屋にしたいと思いました。その書店の中で、自分自身はもちろん、お客さんも日々、食文化を研究していくような場所にしていきたいという想いを店名に込めました。

2階の食文化研究所書店では食の歴史や文化にまつわる本、エッセイなどの書籍やZINEがメイン。また、洪さんがセレクトした食品や食器、アパレル、食のアート作品も置いてあり、粋で楽しい雰囲気です。

――お店にはどんなお客様がいらっしゃいますか。

譚さん:老若男女、いらっしゃいます。ひと息つくためにコーヒーを飲みに来る方や、夏場はアイスキャンディーを食べに小学生のお子さんもよくいらっしゃいます。

洪さん:地域の方だけでなく、遠方からいらっしゃる方もいますね。

コーヒーは注文を受けてから1杯ずつ丁寧にハンドドリップしています。濃い目でほどよい苦味があり、落ち着く味わいです。

夏季になると、福岡から取り寄せるカバ印のアイスキャンデーが大人気。

――モーニングや、ブックスナック、本屋Bar良夜(あたらよ)など、本屋さんでありながら朝や夜に開かれるイベントについて、様子や魅力を教えてください。

洪さん:モーニングとブックスナックは食文化研究の一環としてもひらいています。普段の本屋だといらっしゃらないお客さんもお越しになったりして、来ていただくきっかけに繋がっていると思っています。

譚さん:本屋Bar良夜は、夜の本屋がバーになるイベントです。お客さんだけではなく、店主である私も一緒にお酒を飲んだりお話したりしています。みんなで楽しめる雰囲気です。

イベントによってはお料理も楽しめます。写真はスパイシーなタコスサラダ。

――今後はどういったイベントを開催したいですか?

譚さん:去年はお酒のイベントが多かったので、本関連の読書会や歌会などのイベントをもっとやっていきたいですね。あと、月2回の麻雀会もはじめたので継続していきたいです。

洪さん:まだ時期は未定ですが、食文化の研究所をひらいて、研究員を募集したいです。月に何回か集まって、食や食にまつわる文化の研究をお互い持ち寄って、実現させていく。個人研究でも共同研究でも。たとえば「素麺研究」とかだったら、みんなで試食をしたり、価格の話とかを相談できますよね。そんな研究や発信する方法を一緒に考えたりしていく、ゼミのようなサークルを作りたいです。

――谷保の魅力を教えてください。

譚さん:谷保は個人のお店が多いので、いろんな楽しみ方ができます。おいしいケーキ屋さんがあったり、居酒屋めぐりとかも。ディープなお店が多いので、ぜひ歩いてみてほしいです。

洪さん:国立駅前と谷保のギャップが面白いです。以前、「ダイヤ街商店街はどこですか」と道を尋ねられたので案内をしたら「こんなにちいさな商店街が……!」と驚かれたことがあります。汽車ポッポ公園とかも、谷保の独特な雰囲気がありますね。同じ国立市内でも、国立、谷保、矢川と雰囲気が全然違うので、ギャップ感をぜひ楽しんでほしいです。

最後に、それぞれのおすすめ書籍を教えていただきました。

『カステーラのような明るい夜』(尾形亀之助)

『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』(安達茉莉子)

イベントや最新情報は、以下リンク先でご確認できます。

新月社 食文化研究所書店

あたらしい本と人に出会える2つの本屋さん。ちょっと息抜きに立ち寄ると、素敵な時間が過ごせます。

ライター : 佐藤依里子

基本情報

店舗所在地
国立市富士見台1丁目8-15 小鳥書房アパートメント
営業時間
13:00〜19:00
休業日
火曜日・水曜日
店舗席数
[イベント時の定員]新月社:10〜15席、食文化研究所書店:8〜10席