滝乃川学園

まちに開かれた、日本初の知的障がい児者のための美しい学園。

国立市内の国登録有形文化財の一つである、「石井亮一・筆子記念館」を知っていますか?

石井亮一氏は、日本で初めて知的障害児者のための学園を立ち上げた人物です。まだ知的障がいを持つ人々が社会的排除の対象であった時代、「その子に応じた教育を施せばその子なりに発達する」と確信した亮一氏は、東京都北区滝野川に「滝乃川学園」を創立。そして昭和3年に、国立市矢川に学園を移転させました。

石井夫人の筆子氏は、津田塾大学の前身となる静修女学校の校長にも就任しており、2024年に5千円札の肖像になる津田梅子氏とは華族女学校の同僚で終生交流がありました。また、1万円札の肖像になる渋沢栄一氏は「滝乃川学園」の3代目理事長を務め、学園の運営に尽力した人物でもあります。

日本の歴史とも浅からぬつながりを持つ「滝乃川学園」は、矢川の豊かな自然を守り継ぐ、地域に開かれた場所でもありました。

まるで自然公園のような、「滝乃川学園」の敷地内

昭和3年、夫妻が国立市矢川に学園の移転を決めたのは、先進的な知的障がい児教育を行うペンシルヴァニア州アーウィン校の地形によく似ていたからだと言われています。

「滝乃川学園」の敷地内には矢川の源流があり、その周辺の自然環境を守るように施設が建てられています。緑豊かな敷地を、学園のスタッフと利用者さんが手をつないでのんびり歩いたり、近所の人が散歩をしたり、近隣の幼稚園の子どもたちが遊んでいたり……と、学校の中でもこれほど地域に開かれているところは少ないのではないでしょうか。すれ違う人々が「こんにちは!」と声をかけ合う様子は、公園でもあまり見かけることはありません。

固く閉ざされた施設も多い中で、あえて門扉を開き、あたりまえに地域に溶け込ませることは、夫妻の創立当初からの理念でもあるそうです。

誰でも参加できる、滝乃川ガーデンプロジェクト

石井筆子氏は、敬虔なクリスチャンでもありました。学園の敷地内には、「石井亮一・筆子記念館」と同時期に建てられた「聖三一礼拝堂」が佇んでいます。その中には筆子氏が愛した日本最古の輸入ピアノ「天使のピアノ」が所蔵されており、どちらも国立市登録文化財に指定されています。

美しい白亜のチャペルの目の前には「滝乃川学園ガーデンプロジェクト」として毎月1回(土曜日または日曜日に)地域に開かれているガーデンが広がっています。

ガーデンへの参加の方法は、こちらも「こんにちは!」と声をかけるだけ。軍手を持ってきて畑作業に加わったり、ガーデンを散歩したり、芝生に大の字になって寝転んだりと、思い思いに過ごすことができますよ。

福祉と教育の深い歴史があり、まちに開かれた「滝乃川学園」を、国立散歩のルートに加えてみませんか?

基本情報

店舗所在地
国立市矢川3-16-1
営業時間
※ご案内による見学を希望される場合は、事前にお電話にてご予約ください。
TEL
042-573-3950
ウェブサイト
https://www.takinogawagakuen.jp/