矢川緑地

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国立と立川の市境にある別天地「矢川緑地保全地域」。

野鳥がやってくるサンクチュアリは、人も癒される都会の小さなオアシスです。

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JR南武線矢川駅を降りて途中から線路の南側をたどり、やがて見えてくる矢川の流れにそって西国立方面に歩くこと7、8分。
樹木がこんもりとしげり、野鳥の声が聞こえる自然豊かな空間が、矢川緑地です。
面積は約2.1ヘクタールと小規模ですが、東京都の「東京における自然の保護と回復に関する条例」に基づいて、1977年(昭和52年)に保全地域に指定 されました。そのおかげで、周囲が住宅地として開発されても、ここだけは小さなオアシスのように貴重な緑が残っています。
緑地の南側には湿地帯があり、中ほどにはスダジイ、コナラ、ケヤキ、カツラなどの雑木林があり、野鳥のサンクチュアリとなっています。そしてその豊かな自然の生態系を支えているのが、立川段丘から湧き出す湧水なのです。

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矢川緑地もまた、東京都の名湧水57選のひとつ。緑地の中には湧水池がありますが、さらにいくつもの湧水ポイントから湧き出す水を集めて流れだすのが、幅2m程、長さ1・5キロの矢川です。
矢川は緑地を出て南に向かって流れ、第六小学校と矢川いこいの広場を抜けて甲州街道の下をくぐり、さらに滝野川学園の先の「矢川おんだし」で、多摩川水系の府中用水と合流して谷保の農地をうるおしていきます。
その昔は、途中にワサビ田があったり生糸生産に使う水車が回っていたりと、里山の暮らしを支えていた矢川。夏にはたくさんのホタルも飛んでいたそうです。

矢川緑地内は、矢川緑地ボランティアの方々のお世話で自然が保たれており、夏の湿地に丈の高いヨシなどが繁茂する景色は、それは見事です。シマアメンボ、ツバメ、オナガ、カルガモにコサギは緑地の常連ですし、6月にはカッコウの声が聞こえることもあります。
また澄み切った流れの矢川の周辺には貴重な湿地性の植物が数多く、清流にしか見られないナガエミクリ、ピンク色のミゾソバなどが可憐な花を咲かせています。矢川の流れに沿って散策路や木道が整備されていますので、水辺を眺めながらゆっくりお散歩をどうぞ。

【取材・執筆】 田中えり子
【写真】 横坂泰介
【参考】 『里山ガイドマップ』(くにたち郷土文化館発行)
 

 

基本情報

店舗所在地
東京都立川市羽衣町3丁目26