familiar

開業は2017年3月7日。谷保駅北口から徒歩で5分ほどの角地路面店です。

「親しい、遠慮気兼ねない、打ち解けた」という意味合いのfamiliarには、お客さまとずっとそんな関係でありたいという老田賢司代表の思いが込められています。

お客さま自身での手入れのしやすさ、再現性ともちのよいカットが定評。もちろん、カラー、パーマ、セットなど、どんな要望にも応えてくれるヘアサロンです。ヘアケアの要であるヘッドスパの気持ちよさも特筆ものです。

施術はマンツーマンでの対応。「目の前にいるお客さまに集中して最善を尽くすために、すべてのプロセス、シャンプーから仕上げまでを担当者一人が担います。できることならその方の生涯を通して担当したい」とまで言い切る熱い思いが同店の特徴のひとつ。

 

「なにごとにつけても型にはまりたくないというのが、子どもの頃から変わらない僕の性格で。子どもが好きだったこともあって、中学生のころから美容師か保育士になりたいと考えていました」

美容専門学校へと進み、在学中に国家資格を取得します。

卒業後は老舗、大手チェーンなど数店舗、フリーランスも経験して、やがて独立開業が視野に入ってきます。

「自分の店を構えるにしても、とにかく他のお店とは違うことをしたいと思っていました」。これが老田さんのぶれることのない基軸のようです。そこに福祉美容への思いがあいまって、今日のfamiliarが形成されてきました。

 

同店の最大の特徴は、バリアフリー。車椅子ユーザーや障がいをお持ちの方を受け入れる設備を備え、ソフト面でもきちんと対応できるように同店なりのルールを定めました。それは間違いなく健常者にとっても居心地のよい空間、雰囲気を醸し出しています。

すっきりとした白木のフロア、そしてむき出しの梁のようなデザインも、お家のようで、ぬくもりが感じられますね。

 

「妻の身内に当事者がいて、その子との関わりを通してボランティア活動にも参加してきました。そこで知ったのは、バリアフリーが叫ばれている社会にあってなお、美容室に行くことの難しさ、ハードルの高さでした。そのことがずっと心にあり、独立するときには、誰にとっても居心地のいいヘアサロンを作ろうと、強く思いました。店づくりの上でも数々の助言やヒントを当事者のみなさんから直接聞くことができ、ずいぶん助けてもらいました。施術する椅子のまま、お客さまが移動することなくシャンプーできる椅子を採り入れたのもそのためです。ご高齢の方にとっても、健常者にとっても心地よいものだと思います。社会貢献のひとつになればと、開業当時からヘアドネーション・カットにも取り組んでいます」

 

店舗設計と運用するうえで心掛けたことは、ハード面では、

・外から車椅子で入れること。店内に車椅子の旋回に必要なスペースを確保すること。ビルの構造上、道路面からのスロープはないけれど、そのつど板を渡して昇降のお手伝いをすること

・店内に段差がないこと。お手洗い内の段差がないこと

・床面に電気コードがないこと

・客動線がシンプルなこと。施術する椅子からシャンプー台への移動がないこと

・車椅子ユーザーの目線に合わせて、受付・会計カウンターや商品棚などを低めに設置すること

といった点でした。

スロープの傾斜度も車椅子ユーザーが怖い思いをしない長さと角度を確保するように、ユーザーや介助をする方々の意見を採り入れました。

 

ソフト面では、「障がいとひとことで言っても多種多様で、対応の仕方も違います。ですからご予約電話の際に、なるべく詳しく説明していただきます。そして事前に、できる範囲内ではありますが、症状などについて調べて可能な限りの対応を心掛けています。そして当日は貸し切りで施術します。小さなお子さん連れの方や、3歳以下のお子さんへの施術のときも同様です。気兼ねなく快適に過ごしていただきたいので」

小さなお子さん連れの方への施術の際には、智子さん(下の写真右)がお子さんのお相手をすることもあるそうで、それはうれしいアシストですね。授乳やおむつ替えのスペースもあります。

ともに働くヘアデザイナーの中三川真紀さん(左)は、自身が福祉美容に関心を持ち始めたタイミングに出会った老田さんの姿勢に共感してfamiliarへの入職を決めました。明るい人柄と確かな技術で、お客さまの「なりたいスタイル」を実現、多くのファンを抱えています。

 

2024年夏には2号店“familiar BOND”が国立駅北口にオープンします。こちらは完全個室の5席。

「福祉美容の幅をさらに広げて、訪問美容や被災地などへのボランティアといった社会に貢献できる活動にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。多様性を追求するには人材が必要で、スタッフ数を確保するためには、スタッフの将来性や働きやすさ、長く続けられる労働環境づくりも必要になってくるかと考えて、2号店出店を決断しました」

 

スタッフの個性や好きなことをプラスアルファの要素として採り入れていくなど、働き方にも新たな可能性を秘めていそうです。

「谷保店は2席だけですが、オープンなスペース使い。ここにはここの良さがあるので、この先も活かしていきます。北口店では完全個室として、お客さまひとりの空間、癒しの空間という無形のサービス込みの美容を提供していきたいと考えています。ともに歩んでくださるスタッフ募集中です」

2店舗を棲み分けつつ、老田さんが挑戦する多彩な美容のあり方、可能性が楽しみです。

 

 

基本情報

店舗所在地
国立市富士見台1-8-21 アークマンションNO2 101号室
営業時間
10:00~20:00(カット最終受付19:00、カラー・パーマ最終受付18:00)
休業日
火曜日
TEL
042-505-7739
店舗席数
2席
ウェブサイト
http://familiar-hair.com