カフェびろーどの猫
温められたスコーンを割ると、バターの香りがふわっと立ちのぼります。もうそれだけでおいしい予感。わくわくしながら、クロテッド・クリームとジャムを塗っていただきます。
サクサク食感が、かみしめるほどにバターととけ合って、しっとりに変わっていきます。香り高い紅茶もいただいて、すっかりイギリス気分。おすすめです。
カフェびろーどの猫は2020年11月22日にオープン。国立駅南口から歩いて約7分、富士見通りの中ほどにあります。
通りから少しセットバックした白い建物の、薄緑色のドアとステンドグラス、そして鍛鉄製のサインボードが目を引きます。
びろーどの猫とはちょっと不思議な店名ですね。
「とある映画でルシアンブルーの子猫がビロードのような毛並みと言われているのを見たときにうちの猫が思い浮かんだこと、ある日飲んだコーヒーが“ベルベットのような滑らかさ”と表現されていたことが印象的で」と、店主の恭子さん。
サインボードはじめ、店内外を飾るアイアンアートは、八王子市高尾山に工房を構えるロートアイアンアーティストのチャーリー礒崎氏によるもの。美しさと同時に、ちょっぴりユーモアも感じさせるデザインが素敵です。
白と木目が基調のシンプルな店内。アンティーク家具が落ち着いたくつろぎを演出しています。使われている色も薄緑、薄桃とやさしくて、穏やかな笑みを浮かべる恭子さんの雰囲気に通じます。
さほど広くはないけれど、テーブル席、カウンター席の使い分けが巧みで、のびやかさと各席の独立感が両立しています。
「車も人も行き交う富士見通りに面しているけれど、中に入ったら当店独自の空間と言いますか異世界を感じながら、のんびり過ごしていただきたいですね」と、「僕は週末だけのお手伝いですけど」と笑う信智さんが言います。
お店の内外にさりげなく配された小物たち。派手さはないけれど心が和む置き物たちにも、ウェブデザイナーだった恭子さんのセンスが光ります。
カフェ開店の思いはずいぶん前からあたためていました。お菓子作り、器、デザイン、好きで得意なことをひとつにまとめあげたら、「そのこたえはカフェでした」。
イギリスの文化への憧れから、コッツウォルズを旅してティールーム巡りをしたことから、夢はふくらみ、さらに実現へと舵を切っていきます。
「妻のお菓子がおいしくて、多くの方に食べてほしかったんですよ」という信智さんの後押しも原動力になったことでしょうね。
「カフェをやるなら国立で、と思っていました。カフェが似合う、憧れの街でしたから」
小学生のころからお菓子作りが好きだった恭子さんが提供しているのは、スコーンを中心に、ヴィクトリアサンドイッチケーキ、チーズケーキ、季節もののジンジャーブレッドケーキなどなどイギリス菓子が主体です。
いまは、月曜・金曜・土曜の週3日の営業。
「ご友人とおしゃべりしたり、おひとりで本を読んだり、ぼんやりしたり…お客さまにはゆったりと過ごしてしていただきたいです」
さあ、紅茶が運ばれてきました。恭子さん手作りのティーコージーをかぶせたら、お好みの濃さになるまで待ちましょう。コポコポとカップに注いだら、そおっとお口にふくんで、広がる味と香りを楽しんで。
「あれもこれもやらなくちゃ」なんてことはひとまず忘れて、この家庭的なカフェで心ゆくまで寛がせていただきましょうか。
- 店舗所在地
- 国立市中2-3-3
- 営業時間
- 12時30分~18時(L.O.17時)
- 休業日
- 火・水・木・日
- TEL
- 042-505-4556
- ウェブサイト
- https://velvetneko.com/