ポークストック
谷保駅から歩いて3分の路地に、2022年7月にオープンした炭火焼ビストロ「Porc Stock(ポークストック)」。
東十条で10年営業していた人気店でしたが、道路拡張により惜しまれながらも一度店を閉め、この場所で再出発しました。
店に入り、入口から続く廊下を奥へと進んでいきます。隠れ家のような雰囲気にワクワクをおさえられません。
廊下の先に現れるウッディな空間は、ゆったりとしたカウンター席が中心。テーブル席もあるため、一人でも、誰かと一緒でも伸び伸びと過ごすことができます。
このお店では東十条時代から、炭火で焼き上げる豚肉が名物。塊肉にじっくりと火を入れることで、香ばしくジューシーに仕上がります。
炭火焼きは時間も手間暇もかかるため“おいしさを追求したからこそ辿り着いた調理方法なのだろう”と想像していたところ、店主さんからは「炭火焼きをコンセプトにしたのは、独立する前に勤めていたレストランで“循環エネルギー”として炭火を使っていたときの名残なんです」という、意外な答えが返ってきました。
店主の諸橋新之助さんは、東十条にポークストックを開く前、フレンチレストランやワインバーで料理人として経験を積んだあと、神宮前で人気を博した自然派レストラン「クルックキッチン」(現在は閉店)の立ち上げから関わった経歴を持ちます。
「クルックキッチン」は、音楽プロデューサーの小林武史さんやMr.Childrenの櫻井和寿さんが中心となり、音楽フェスなどの多彩なプロジェクトを通して、環境問題や循環エネルギーの促進に取り組む組織「ap bank」の世界観を体現したレストランでした。
そのため、化石燃料をできる限り使わないよう店内にはオーブンやガス代を設置せず、炭を使った調理を採用。それがベースとなり「ポークストック」でも“炭火”がキーワードとなっているのだとか。
「サステナブル」や「SDGs」という言葉が浸透する遥か前から諸橋さんが取り組んできた地球にやさしい料理。それゆえに、同店ではロスが出ないよう豚肉は一頭買いするスタイルです。お付き合いをする生産者も、諸橋さんと共通する考えを持った信頼できる方を吟味。その先に、ストレスフリーな環境で丁寧に育てられ、肉の味わいもピカイチの南州黒豚にたどり着きました。
スペシャリテは、甘口のシェリー酒のタレを重ね塗り、じっくりと炭火で焼き上げた「スペアリブ 黒胡椒焼き(2,400円)」。
諸橋さんがシェリー酒のペドロ・ヒメネスを飲んだ際に「これは豚肉に合う!」と発想が浮かんだ、オリジナルの味わいです。
そのほか、美しいピンクのグラデーションの焼き色が食欲をそそられる「骨付きロース(約500g 4,800円)」、「モモ(200g 1,880円)」など、南洲黒豚を部位ごとに味わい尽くせます。
一頭買いしているため、ボリューム満点なのに良心価格なのもうれしいところ。肉は焼き上げるまでに時間がかかるため、お酒を飲みながらのんびりと待つのがおすすめです。
ちなみにランチでは、南洲黒豚をハンバーガーセットでカジュアルに楽しめます。
豚肉とおなじく好評なのが、20種類以上の野菜がいっぺんに味わえる野菜サラダ(1,430円)。畑から届く多摩エリアの野菜を中心としたサラダは、農家さんが育てた野菜を指定せずに取り寄せているため、当日まで“なにが出るかわからない”ところが醍醐味。大満足のボリュームで、珍しい季節野菜との出合いを楽しめます。
おいしい料理を提供するだけではなく、生産者から調理方法まで“環境への配慮”という視点を持った「ポークストック」。
「信念を持ってやっていますが、お客さんにはそこまで意識してほしくないというか。料理がおいしいな、店主が面白いな、くらいの気楽な気持ちで、肩ひじ張らずに来ていただけたらと思います。塊肉を炭火で提供しているところや、何十品目も野菜がお皿に盛られて出てくる店はあまりないと思うので、そういったところを気に入ってくだされば嬉しいです」と諸橋さんは微笑みます。
ありそうでない、唯一無二のビストロ。きっと一度来店すれば、あなたの“お気に入りの一軒”になるはず。
- 店舗所在地
- 国立市富士見台1-8-54 協栄ビル 1F
- 営業時間
- ランチ:11時30分〜14時LO
ディナー:18時〜21時LO
日曜はランチのみ営業。
ランチは材料無くなり次第終了。 - 休業日
- 月曜
- TEL
- 090-9800-2297
- 店舗席数
- 16席
- 禁煙・喫煙
- 禁煙
- ウェブサイト
- https://www.instagram.com/porcstock